図1 3次元(3D)動画の撮影に対応したビデオ・カメラ
図1 3次元(3D)動画の撮影に対応したビデオ・カメラ
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図2 3Dコンバージョン・レンズ「VW-CLT1」を取り外した状態
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図3 「サイド・バイ・サイド」方式を採用
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図4 子供の撮影などに利用する
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図5 垂直位相や画角,回転などのズレを調節する
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図6 ミラーレス・カメラ「Gシリーズ」向けの交換レンズの試作機
図6 ミラーレス・カメラ「Gシリーズ」向けの交換レンズの試作機
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 パナソニックは2010年7月28日,3次元(3D)動画の撮影に対応した民生用ビデオ・カメラ「HDC-TM750」「HDC-TM650」を発表した(図1,図2,発表資料)。別売りのコンバージョン・レンズ「VW-CLT1」を装着することで,3D撮影が可能になる。価格はいずれもオープン。想定実売価格は,HDC-TM750が16万円前後,HDC-TM650が13万円前後,そしてVW-CLT1が3万8000円前後である。8月下旬に発売する予定。

 3D動画の撮影方式は「サイド・バイ・サイド」(図3)。VW-CLT1の2個のレンズで,左右用の映像をそれぞれ撮影する。そして,右目用映像と左目用映像の動画計2フレーム分を水平方向に圧縮して一つの映像として記録する。このため,撮影・再生はできる解像度は1920×1080画素(約207万画素)のいわゆるフルHDより小さくなる。3Dテレビで見る際には,右目用と左目用の映像が交互に再生される。サイド・バイ・サイド方式に対応する3Dテレビやレコーダであれば,他社製品でも視聴が可能だ。記録方式はAVCHD規格に準拠する。

1組の撮像素子で二つの映像


 撮像素子は,1/4.1型で305万画素のMOSセンサを3枚(総画素数915万画素)搭載する。光の3原色をそれぞれのセンサで処理するため,これで1組となる。一般に,2眼式のビデオ・カメラでは,レンズごとに撮像素子を備える。一方,今回の開発品では,1組で左目用と右目用の映像を同時に撮影する。高画素なイメージ・センサを利用することで,左右用にそれぞれの領域を振り分けることができたためだ。

 被写体との距離が1.2~4.0mのときに,物体の飛び出しや奥まりといった立体感が最適になるよう設計した。視差の調整はできない。このほか,3D撮影中はズーム機能が働かず,ワイド端(35mm換算で58mm)で固定される。3D撮影の専門知識を持たない一般のユーザーでも,失敗が少なく気軽に撮影できるよう設定できる部分を制限したのである(図4)。ただ,3D特有の不快な映像を避けるため,ビデオ・カメラの光軸とコンバージョン・レンズの光軸を手動で合わせる必要がある。液晶ディスプレイに表示される指示に従い,VW-CLT1上部のダイヤルを回して調節する(図5)。

 2Dの撮影では,HDC-TM750とHDC-TM650の両機種ともに,1080/60pの撮影に対応する。レンズは12倍ズームで,動画撮影時の焦点距離は35mm換算で35~420mm。F値はF1.5~2.8である。HDC-TM750は96Gバイト,HDC-TM650は64Gバイトのメモリを内蔵する。SD/SDHC/SDXCメモリ・カードにも対応する。HDC-TM750は,外形寸法が66mm×69mm×138mm,電池装着時の質量が約440g。HDC-TM650は,外形寸法が62mm×66mm×126mm,電池装着時の質量が約388g。VW-CLT1は,外形寸法が78mm×59mm×97mm,質量が約195g。

 パナソニックは発表会において,同社のミラーレス・カメラ「LUMIX Gシリーズ」向けにも3D撮影を可能にする交換レンズを開発中であることを明かした(図6, Tech-On! 関連記事)。