イー・モバイルが社内に設置した商用基地局装置で実演したDC-HSDPAでの通信の状況。下りの平均データ伝送速度は39Mビット/秒程度だった。
イー・モバイルが社内に設置した商用基地局装置で実演したDC-HSDPAでの通信の状況。下りの平均データ伝送速度は39Mビット/秒程度だった。
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 イー・モバイルは2010年7月6日,都内で記者説明会を開催し,第3世代移動通信システム向けの高速データ通信規格である「DC-HSDPA」の動作デモを公開した。同社はこの説明会において,規格上の最大データ伝送速度が42Mビット/秒であるDC-HSDPAの商用サービスを2010年10月に開始予定であると発表した。「我々は新しいサービスを導入するときに,3カ月前に動作デモを見せて,1カ月前に料金プランを公開する,という手順を踏んできた。今回もそれと同じタイミングだ」(同社 代表取締役社長のEric Gan氏)。

 DC-HSDPAは,イー・モバイルが導入済みのHSPA+(規格上の最大データ伝送速度は21Mビット/秒)を拡張した方式。隣接する二つの搬送波を1ユーザーに割り当てることで,最大データ伝送速度を2倍に高める。3GPP(3rd Generation Partnership Project)のリリース8で規格化された。イー・モバイルは2009年夏に,2010年秋にDC-HSDPAを導入する計画であることを明らかにしていた(Tech-On!の関連記事

 今回の動作デモは,イー・モバイルの社内に設置した屋内向けの商用基地局設備を用いて実施した。下りの平均データ伝送速度は39Mビット/秒程度と,規格上の上限に近い結果が出ていた。Eric Gan氏は,「実効的なデータ伝送速度でも,現行のHSPA+サービスの2倍近くを達成できると見込んでいる」という。

 DC-HSDPAサービスの利用料金や開始日,対応端末といった詳細は未公表である。導入エリアについては,まずは大都市圏を中心に導入し,その後1年間で人口カバー率を60~70%程度にする予定である。