電池の左側のタブを引っ張る
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多数のネジを利用
多数のネジを利用
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分解後のiPhone4
分解後のiPhone4
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メイン基板に並んだコネクタ
メイン基板に並んだコネクタ
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 黒い部品の中からターゲットを定め,一つずつ部品を外していく。まずは最も大きな部品であるLiポリマ2次電池を外す。iPhone3GやiPadの電池は接着剤などで固定されており,外すのに一苦労だった(関連記事)。

 ところが今回は,電池を容易に外せるようになっていた。「Authorized Service Provider Only」と書かれたタブを引っ張ると,電池の下に敷かれたフィルムに引き起こされるように電池が外れた。電池を外した後の筐体を見ると,電池の外周部分だけを両面テープで固定していたようだ。

 これまでの米Apple Inc.の製品との違いは,電池の固定だけではなかった。分解を進める技術者が
「iPhoneらしくない」
「これまでのAppleと全く違う」
とつぶやいた。
「設計担当者が変わったのではないか」
との感想が漏れるほどだった。

 最も大きな違いは,ネジを多用していたことだ。いくつものネジを外さないと,部品を外すことができない。分解が進むにつれて,机の上にはネジがどんどん増えていった。

 なぜネジを多用したのか。分解班の中から,部品の高騰が背景にあるのではないかという意見が出た。製造工程で組み立てに失敗した際や修理の際に,全てを廃棄するのではなく,なるべく多くの部品を再利用するためとの推測だ。

 これまでApple社は,電池を両面テープや接着剤で固定するなど,部品の交換を前提としない設計を続けてきた。そのため修理や電池交換の際には,本体を丸ごと交換するしかなかった。それがiPhone4では,電池や部品を取り外しやすくしている。部品の再利用でコストの低減を狙ったのか,環境負荷の低減をアピールするためか,Apple社の真意は不明だが,今回のiPhone4から何らかの変化が生じているようだ。

 もう一つの違いは,部品のモジュール化が進んでいたことである。
「日本メーカー以上にモジュール化されている」
というのが技術者の印象だ。

 各モジュールからはフレキシブル基板が伸び,その先にはコネクタが実装されていた。そのコネクタを,メイン基板のコネクタに接続する。
「こんなに多くのコネクタが並んでいるのを見たことがない」
そう技術者が驚くほど,メイン基板には多数のコネクタが連続で並んでいた。

そして次はアンテナのヒミツに迫る。