テーマサイト「ものづくりとIT」の2009年ランキングは,設計業務の改革に関する記事が10位以内に数本入っているのが特徴といえよう。2位の「『いきなりシミュレーションはできない』セイコーエプソンがEMI対策での奮闘を明かす」,8位の「パナソニック,工場内の人物の動線を描くソフトを発売」,9位の「『工場の作業者の行動を丸裸に』---新タイプの見える化サービスが本格スタート」などがそれに当たる。また,脳波でロボットや電動車いすを操作する技術のついての記事が3位,4位と上位に入った。

▼ 2009年「ものづくりとIT」記事ランキング

順位記事タイトル日付
12000万画素で撮っても実は500万画素相当,一眼のミラー・ショックを簡便に測定4/10
2「いきなりシミュレーションはできない」セイコーエプソンがEMI対策での奮闘を明かす11/24
3念ずれば「ASIMO」が動く---ホンダなどが脳でロボットを制御する基礎技術を開発3/31
4理研とトヨタなど,脳波で電動車いすを操作する基礎技術を開発6/29
5ファインモールド,立形マシニングセンタ「V33」のプラモデルを開発,金型はV33実機で加工1/28
6ベビーカーの安全基準が改正,「離して丸める」ことで傷害リスクを低減3/2
7コマツ,国内の生産体制を再編----真岡工場と小松工場は閉鎖へ4/14
8パナソニック,工場内の人物の動線を描くソフトを発売1/19
9「工場の作業者の行動を丸裸に」---新タイプの見える化サービスが本格スタート7/1
10【CEATEC】「駆け出しのアナタにも電波の動きが見える」,電界分布の動画撮影用カメラが登場10/13

(集計期間:2009年1月1日~12月15日)

 1位の「2000万画素で撮っても実は500万画素相当,一眼のミラー・ショックを簡便に測定」も,なかなか見えにくいものの実態を明らかにした記事といえる。一眼レフ自体の動作に起因する振動が実質の解像度を1/4以下にまで低下させることがあるという,意外性もあって多数のページビューを集めた。

 2位の記事は,EMI(放射電磁雑音)対策を設計初期段階から織り込む設計者の試みを紹介したもの。機械設計者の間でも,構想設計段階を重視し,後の段階に進んでからの手戻り発生を極力抑止しようという考え方や試みが注目を集めつつある。8位と9位は生産現場のカイゼンにかかわる記事で,なかなか捕捉できない作業者の動きを定量化する手段を紹介した。

 2位と同様,10位の「『駆け出しのアナタにも電波の動きが見える』,電界分布の動画撮影用カメラが登場」も,見えない電波を見る文脈でとらえられる記事。「電波系」という言葉の意味するところところとは異なるが,3位「念ずれば『ASIMO』が動く---ホンダなどが脳でロボットを制御する基礎技術を開発」と4位の「理研とトヨタなど,脳波で電動車いすを操作する基礎技術を開発」では,本年から基礎的な成果が得られはじめた,脳波による機器インタフェースの研究動向を報じて,注目を集めた。

 5位「ファインモールド,立形マシニングセンタ「V33」のプラモデルを開発,金型はV33実機で加工」は,大不況で売り上げの大幅減にあえぐ工作機械に関して,毛色は変わっているが少し明るいニュース。実は,模型業界誌などにも先駆けて,Tech-On!がいち早く報じたネタであった。

 2位,8位,9位の記事に見られるような業務改革の動きは,不況によって加速している側面もある。多くの企業が一層のコストダウンを迫られているためだ。2010年は,景気が戻る一方で,改革は改革として進むことも期待したい。