半導体製造技術に関する最新情報を伝えるテーマサイト「半導体製造」で,2009年にもっとも多く読まれた記事10本を紹介する。今回のランキングを紐解くキー・ワードは,「業界再編」と「グリーン」である。

▼ 2009年「半導体製造」記事ランキング

順位記事タイトル日付
1【続報】「メモリー・ソリューション・カンパニーを目指す」,エルピーダ 坂本社長の質疑応答6/30
2ルネサスとNECエレの経営統合報道,両社が「決定した事実はない」とコメント4/16
3単位時間当たりの価格で白熱電球や電球型蛍光灯並み,シャープがLED電球市場に参入6/11
4新型プリウス,京セラ製の太陽電池の効率は16.5%,屋根の形状を一部変更5/18
5ドイツQimondaが破産手続きを申請,「支援が間に合わず」1/24
6シャープの太陽電池 新工場,製造装置のメド立たず4/8
7NEDOが太陽電池ロードマップを見直し,2050年にモジュール変換効率40%を実現へ6/8
82008年の半導体製造装置市場は25%減,ランキングではTELが3位に陥落3/18
92008年の太陽電池生産量,京セラ290MW,三洋200MW2/16
10エルピーダの坂本社長,「台湾3社と連合を組めば世界一狙える」2/7

(集計期間:2009年1月1日~12月15日)

 2008年秋のリーマン・ショックに端を発する半導体不況を受けて,2009年は国内半導体メーカーの再編が現実のものとなった。その幕開けは2009年1月。当時,東芝の社長だった西田厚聰氏が,同社のシステムLSI事業を分社化し,国内の同業他社と事業統合する意向を示唆したことだった(Tech-On!関連記事1同2)。半導体国内最大手がこのような態度を示したことで,業界再編が一挙に現実味を帯びた。

 ふたを開けてみると,実際に事業統合に至ったのはルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスだった(ランキング2位)。両社は2009年4月に事業統合に向けた協議を開始(Tech-On!関連記事3)し,2009年12月には合併契約を締結した(同4)。両社は2010年4月に新会社「ルネサス エレクトロニクス」として始動する。売上高では世界第3位の半導体メーカーが誕生するわけだが,現状では両社ともに巨額の赤字を抱えている。世界市場での存在感を取り戻すために,残された時間は多くない。東芝や富士通マイクロエレクトロニクス,パナソニックなど,今回の再編に絡まなかった国内半導体メーカーも,2010年には生き残りをかけた次の一手を打ち出す必要があるだろう。

 海外の半導体メーカーを巻き込んでの業界再編に踏み出したのが,DRAM大手のエルピーダメモリ(ランキング1位10位)。同社社長の坂本幸雄氏は従来から,DRAMの需給バランスを改善させる観点から業界再編の必要性を説き,台湾DRAMメーカーに事業提携を持ちかけていた。同社は2009年11月に,台湾ProMOS Technologies Inc.,同Winbond Electronics Corp.の2社と生産委託契約を結んだ。以前から提携関係にある台湾Powerchip Semiconductor Corp.,同社との合弁会社Rexchip Electronics Corp.と併せ,台湾4社との5社連合を完成させた。DRAM業界では,ドイツQimonda AGが2009年1月に経営破たんするなど,2009年に市場環境は厳しさを増した(ランキング5位)。“日台連合”で,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.や同Hynix Semiconductor Inc.に打ち勝てるのか。最終レースを迎えたDRAM業界で,2010年もエルピーダの奮闘が続く。

 今回のランキングでは,太陽電池やLEDといった地球温暖化抑止に寄与する“グリーン・デバイス”関連のニュースが半数を占めた(ランキング3位4位6位7位9位)。特に目立ったのが太陽電池関連だ。

 太陽電池業界でも,市場競争の激しさは半導体業界に劣らない。太陽電池は,かつて日本勢のお家芸だった。2004年には,シャープ,京セラ,三洋電機など国内勢の合計シェアは50%に達していた。ところが,需要拡大フェーズに入ったここ2~3年でドイツQ-Cells AGや米First Solar, Inc.,中国Suntech Power Holdings Co.など後発メーカーが一挙に躍進してきた。日本勢の合計シェアは,2008年には20%を割っている。

 こうした状況を打破しようと,ここに来て日本勢も攻勢に転じている。特に動きが目立つのが,三洋電機。業界トップ・クラスの変換効率をうたう結晶Si系太陽電池が強みだ。同社は2009年11月,2015年度末までに生産能力を1.5GWへ高める計画を発表した。2011~2012年にシャープを抜いて国内首位に立ち,2015年には世界でトップ3の地位を獲得する狙いだ。もちろん,海外の列強も今後,需要拡大を受けて生産能力を大きく伸ばしてくるだろう。市場競争はますます激化しそうだ。本テーマサイトでは,2010年も引き続き太陽電池の最新情報を報道していく。ご注目いただきたい。