Chief Technology OfficerであるJustin Rattner氏
Chief Technology OfficerであるJustin Rattner氏
[画像のクリックで拡大表示]

 米Intel Corp.のChief Technology OfficerであるJustin Rattner氏が来日し,Intel Labsで研究開発が進められている技術について,「我々の未来に向けての四つの予測」と題して紹介した。

 一つ目は「供給電圧(Vcc)とスレッショルド電圧(Vt)を同程度にすることで,消費電力を大幅に低減させる」。「数百MHz程度のそこそこの速度で動作させることで,消費電力を1/10にできる」(Rattner氏)。性能が必要な場合は供給電圧を上げて,フルパワーで動作させる。通常の利用時は供給電圧を下げることで,消費電力を抑えるといったことが可能になると言う。

 次にRattner氏が挙げたのが,「シリコン・フォトニクスによる光インターコネクトがさまざまなところで使われる」というもの。同年9月に開催した「IDF」で発表した「Light Peak」を始め(Tech-On!関連記事),メモリ・インタフェースに光インターコネクトを利用した「Remote Optical Memory」,テラビット/秒クラスのネットワークなどに使われる。Remote Optical Memoryは,「メモリをサーバー側に集約させておいて,クライアントに割り当てるメモリ容量を適宜変えるといったことも可能だ」(Rattner氏)とした。

 3番目の予測が「ソフトウエアによるレンダリングがビジュアル・コンピューティングを推進する」というもの。同社が開発中のグラフィックス・プロセサ(GPU)「Larrabee」では,プログラミングの汎用度を高めたことにより,「これまでのGPUでは実現が困難だったアルゴリズムも実装しやすい。例えばShadow MapやOrder Independent Transparencyなどだ」(Rattner氏)。

 最後に挙げたのが「仮想メモリ技術を応用して,複数の異なるコアで効率よくメモリを共有する」である。例えば現在のアーキテクチャでは,GPUは入出力バスに接続している。GPUを汎用計算エンジンとして使うには,メイン・プロセサで持つデータを一度シリアライズしてGPUに送り,計算結果を受け取ったらそれをプログラムが持つ形に変換するといった作業が必要になる。「コア間で同じ仮想メモリ空間を共有すれば,こうしたデータ変換の手間がなくなり,オーバーヘッドが大きく減少する」(Rattner氏)。