下が第2世代品を使ったモジュール。ヒートシンクなどが不要となり,小型化を実現できたと主張している
下が第2世代品を使ったモジュール。ヒートシンクなどが不要となり,小型化を実現できたと主張している
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WirelessHDによる動画伝送を実演
WirelessHDによる動画伝送を実演
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SiBEAM社,President兼CEOのJohn E. LeMoncheck氏
SiBEAM社,President兼CEOのJohn E. LeMoncheck氏
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 米SiBEAM,Inc.は,60GHz帯のミリ波を使う無線通信規格「WirelessHD」に向けた送受信チップセットを発表した(PDF形式の発表資料)。同社従来品に比較して集積度を高めることにより,チップ面積を小さくして価格を低減した。「これまではハイエンド機種が中心だったが,より低価格の機種にWirelessHDの機能を組み込めるようになる」(SiBEAM社,President兼CEOのJohn E. LeMoncheck氏)という。薄型の液晶テレビやBlu-ray Discレコーダーなどへの搭載に向ける。

 SiBEAM社は,WirelessHD向けチップセットを世界に先駆けて出荷しており,パナソニックや韓国LG Electronics,Inc.などがAV機器に採用している。今回発表したチップセットは,同社としては第2世代に相当するもの。従来品では90nmのCMOS技術で設計していたが,今回は65nmのCMOS技術で設計した。これにより消費電力を1/2程度まで低減できたという。従来品ではチップの発熱が大きかったことからヒートシンクや空冷ファンが必須だったが,今回の第2世代品ではこうした冷却措置を施さなくとも利用可能としている。

 このほか今回のチップセットでは,従来品では外付けだったHDMI用インタフェース回路や,LVDS制御回路,そのほかのアナログ高周波回路を集積した。送受信回路に必要な構成部品の点数を減らすことができ,システム全体のコストを「40%低減できる」(SiBEAM社のLeMoncheck氏)と主張する。

 チップセットは,送信側と受信側の2種類があり,それぞれネットワーク・プロセサとRF ICの2チップで構成する。まず送信側は,ネットワーク・プロセサが「SB9220」で,RF送信ICが「SB9210」。送信側のチップセットは,AVレシーバーやホーム・シアター・システム,Blu-ray Discレコーダー,セットトップ・ボックスなどに向けるという。一方で受信側は,ネットワーク・プロセサが「SB9221」で,RF受信ICが「SB9211」である。受信側のチップセットは,テレビやモニタ,プロジェクターなどに向ける。

 SiBEAM社は,2009年10月6~10日に開催された「CEATEC JAPAN 2009」において,会場付近のホテルでWirelessHDの動作を実演した。また,今回のCEATECでは村田製作所が,SiBEAM社の第2世代品の利用を想定したWirelessHDモジュールのモックアップを,会場ブースに出展していた(Tech-On!の関連記事)。



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