トヨタ自動車のエンジニアリング会社である「トヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)」は,車載用のアナログICの設計効率化手法について,「EDA Tech Forum 2009 東京」(9月4日に品川で開催)で発表した。登壇したTTDCの小林 淳氏(第3電子開発部)によれば,アナログ回路の再利用を進めることで,設計工数を半減できるメドが付いたいう。

講演する小林氏(右端) TTDCの説明中。日経BPが撮影。スライドはTTDCのデータ。
講演する小林氏(右端)
TTDCの説明中。日経BPが撮影。スライドはTTDCのデータ。
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事前の調査では,再利用率は低かった TTDCのデータ。
事前の調査では,再利用率は低かった
TTDCのデータ。
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 同氏は1年ほど前にジーダットのプライベート・イベントで,同社とアナログICのレイアウト設計の効率化に取り組み,同設計の工数を75~84%削減できるようになったことを発表している(Tech-On!関連記事)。レイアウト設計工数が大幅に削減できたのは,アナログ回路のレイアウト設計の再利用を進めたからで,再利用率は70%以上になると説明した。

 今回の回路設計効率化では,組んだEDAベンダーはジーダットではなく米Mentor Graphics Corp./メンター・グラフィックス・ジャパンだったが,効率化のカギは同じである。すなわち再利用の促進,いわゆるIPコア化である。同氏によれば,今後,制御に使う車載アナログICの回路規模は大きくなることが予測される。それに対処するには,設計効率化が欠かせないことが,今回の取り組みを始めた背景とした。

 取り組みの最初に,回路の再利用の状況を調査した。すると再利用率が低いことが分かった。バンドギャップ基準電圧源や5Vのレギュレータなど,用途が限定される回路はIP化コアされているが,オペアンプやコンパレータなど回路定数が変動する回路はIPコア化されていないためである。