米Palm, Inc.は,米Apple Inc.のUSB Vendor IDの利用に対する正式な苦情の手紙を米USB Implementers Forum, Inc.(USB-IF)に送ったことを米新聞The New York Timesの誌面上で明らかにした(同手紙のPDF形式のコピー)。

 Palm社が苦情の対象にしたのは,同社の「Palm Pre」携帯電話機製品(Tech-On!関連記事)とApple社の「iTunes」ソフトウエアと同期する機能についてである。Palm Preを2009年6月に発売した時点で,Palm社は同端末にiTunesが扱っている音楽などのコンテンツと同期する機能を盛り込んだ。しかし,2009年7月15日に出荷されたiTunesのバージョン8.2.1において,この機能を無効にされたという。

 Apple社はiTunesバージョン8.2.1をリリースした際に,新バージョンは「Apple社製の機器を認識する際の問題を解決した」とのコメントを公開した。しかし,Palm社のUSB-IF宛の苦情手紙によると, iTunesの新バージョンは同期を希望する機器のUSB Vendor IDを確認して,Apple社のUSB Vendor IDを持つ機器以外とコンテンツを自動的に同期することを断るという。この措置に対応するため,Palm社はPalm Preが利用する「webOS」と呼ぶOSのバージョン1.1.0を2009年7月23日に公開した。同社の手紙によると,新しいwebOSのバージョンではPalm PreとiTunesの同期機能を回復するため,Palm社はApple社のUSB Vendor IDを利用することにした。

 しかし,Palm社の2009年7月22日付けの苦情によると,Apple社がUSB Vendor IDをiTunesとの機器の同期機能を制限する手法として扱う行為は,USB-IFが発行した規格や会員契約に違反していると主張している。