iGoogle内におけるGoogle PowerMeterの様子。グラフは日々のユーザーの電気利用状況を示したもの。グラフ下部の「Nice(63%)」という言葉は,ユーザーの電気利用状況を他のユーザーと比較した結果である。
iGoogle内におけるGoogle PowerMeterの様子。グラフは日々のユーザーの電気利用状況を示したもの。グラフ下部の「Nice(63%)」という言葉は,ユーザーの電気利用状況を他のユーザーと比較した結果である。
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PowerMeterの技術概要。「Google Data API」はデータ交換のためのプロトコルを定義したAPIである。
PowerMeterの技術概要。「Google Data API」はデータ交換のためのプロトコルを定義したAPIである。
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 米Google Inc.は,同社の電力利用管理ツール「Google PowerMeter」(Tech-On!関連記事)で利用するAPI(application programming interface)を,機器メーカーなどに提供する方針を明らかにした。2009年7月16日に米サンフランシスコ市内で開催したイベントで,Google社,Google EngineerのOmar Khan氏が述べたもの。

 Google PowerMeterは,消費者の電力利用状況をグラフィカルに表示させるための技術。Google社は,二つの利用形態を想定する。まず,電力事業者が家庭に敷設する電力メーターを使って,家庭の電力利用状況を把握するというもの。ここでは,高機能型のメーター(いわゆるスマートメーター)を使って,電力利用データを蓄積したり,外部のサービス事業者に提供したりする。スマートメーターの機種によっては,15分~1時間の間隔で情報のアップデートが可能という。もう一つの手法はスマートメーターではなく,消費者が各自で購入する電力量計測機器を使う手法。この場合には,機器メーカーがアプリケーション・ソフトウエアを開発するためのAPIが必要になる。Google社がAPIを提供するのは,こうした機器メーカーの開発を促進させる狙いがある。

 現時点においてPowerMeterは,「Google Gadget」型のウィジェットとして存在する。Khan氏によれば,PowerMeterは携帯電話機上での動作も可能としており,既に試作も済ませているという。Google社は,PowerMeterの機能を,さまざまな携帯機器に組み込むことを想定している。こうなると,携帯電話機だけでなく,ディスプレイを備えた様々な機器で,PowerMeterのアプリケーション・ソフトウエアを実行できることになる。こうした取り組みからは,テレビやパソコンといった一般的な家電機器のすべてに,リアルタイムに電力利用量を表示する機能を付けてしまおうというGoogle社の狙いも垣間見える。ただし,Google社は,こうした将来性については明示を避けた。
 
 Khan氏によれば,PowerMeterのプロジェクトを開始した理由として,Google社がエネルギー問題への関心が高いことを挙げた。一般消費者に対して,エネルギー利用状況に関する情報を提供することは,「世界中の情報を整理し,世界中の人々がアクセスして使えるようにする」という同社のミッションに沿ったものだという。「もちろん,世の中に有益なことだ」(Google社のKhan氏)。