質問に答えるエルピーダメモリ 代表取締役社長の坂本幸雄氏
質問に答えるエルピーダメモリ 代表取締役社長の坂本幸雄氏
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 エルピーダメモリは,産業活力再生特別措置法(産業再生法)の認定を受け,日本政策投資銀行から300億円の出資,100億円の融資を受けると発表した。民間銀行4行から約1000億円の協調融資を受けるほか,台湾Taiwan Memory Co.(TMC)からも200億円程度の出資を受けることで協議中である(Tech-On ! 関連記事1Tech-On ! 関連記事2)。代表取締役社長の坂本幸雄氏の質疑応答の主な内容は,以下の通りである。

――今回の資金調達によって,増資後も赤字を反復するサイクルを脱却できるのか。

 景気の悪化を引き金に,DRAM業界の競争が最終レースに近づいている。最終的に世界で2~3社に絞られると考えている。市場が回復した段階で,生き残ったDRAMメーカーが投資を継続できる余力を残しているのかどうか。必要な時にすら,DRAMメーカーが設備投資できる状況ではないように感じている。

 DRAM業界では今後,50nm,45nm以降のプロセス開発に追随できない企業は脱落する。このため,公的資金の400億円(出資分の300億円と融資分の100億円)を,50nmや40nm以降の開発投資に充てる。

 設備投資額の上乗せは,現時点では考えていない。その理由は,例えば,競合する韓国企業が生産するDRAMが,仮に50%が50nm品,残り50%が60nm品の場合でも,われわれの65nm品のチップの寸法が小さいため,十分に競合できるからである。韓国企業の300mmウエーハからの取れ数は,60nm品で900個,50nmで1400個である。これに対してわれわれは,65nm品でも1160個と遜色がない。

 このため,われわれは,できるだけキャッシュを蓄え,市況回復後の本格的な勝負に備えたい。今後,部分的に45nmから設備投資を行う。ただし,この競合企業が100%を50nm品に切り替えれば,われわれも50nmプロセスへの投資を行う。