電子書籍端末の試作品。iriver japanのロゴ・マークが確認できるが,実際に販売する際のブランドは未定
電子書籍端末の試作品。iriver japanのロゴ・マークが確認できるが,実際に販売する際のブランドは未定
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電子ペーパーの画面寸法は6型
電子ペーパーの画面寸法は6型
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 iriver japanは,早ければ2009年内にも国内で電子書籍端末「Libre」を発売する。日経エレクトロニクスの取材で明らかになった。

 iriver japanは2009年7月1日にグループ会社との合併により,社名がマウスコンピューターに変わる。このため,どのようなブランドで発売されるかは,現在のところ未定である。

 発売予定の端末は,台湾Prime View International Co.,Ltd.(PVI社)製のOEM端末。これに,米Foxit Software Company社のソフトウエア(例えば,Webサイトのニュース記事を巡回してPDFに変換するソフトウエア)を組み合わせたという。ディスプレイには,米E Ink Corp.の技術をベースにした白黒表示の電子ペーパーが使われており,画面寸法は6型で画素数は800×600。無線通信機能は備えず,USBかSDメモリー・カードでデータをやり取りする。

 販売形態は,オンライン販売のみの予定。「価格を低く設定するため,マージンが少なく,量販店のチャネル展開が難しい」(iriver japan 代表取締役社長の浅野樹美氏)ためである。価格は未定だが,2万9800円前後になる見通し。本誌の推測によれば,端末の仕入れコストは150~200米ドルとみられる。

「先んじることに意味がある」

 現在,電子書籍市場は盛り上がりを見せ始めている(日経エレクトロニクス2009年6月29日号の特集記事「電子書籍 メジャーへのページをひらく」参照)。世界では既に,数多くの電子書籍端末が販売されているが,国内でもいずれ,さまざまな端末が登場する可能性が高い。こうした状況だからこそ,iriver japanは「先んじて投入することに意味がある」(同社の浅野氏)とする。「アーリーアダプターだけでも,それなりの市場がある」(同氏)と踏むからだ。今回の端末は,1000台/月の販売台数を見込む。

 実際,iriver japanは,携帯型音楽プレーヤーにおいて,大手メーカーが相次いで参入する前に,一定の市場を確保した。今回も,これと同様の狙いが透けて見える。「電子書籍端末が本当に普及するかどうか,国内の大手メーカーはまだ見極めている段階。だからこそ,我々のような企業が取り組む意味がある」(同社の浅野氏)。

「新聞社などと話を進めている」

 販売当初は,端末に対応する専用コンテンツは特に用意しない予定である。前述の「巡回ソフトウエア」で集めたニュース記事や,ユーザー自身が用意したPDFファイルなどを読む端末という位置付けだ。

 ただし,「現在,新聞社などと話を進めている」(iriver japanの浅野氏)としており,いずれ,何らかのコンテンツが端末にひも付く可能性はありそうだ。