図1 「F-08A」は,今まで以上に防水ケータイの持つ「ごつい」「低機能」といったイメージを覆すことに注力したとする。両面テープの活用により,薄型で丸みを帯びた筐体を実現した。女性に向けて美しさを追求したという。写真は4色展開のうちの「Beauty Pink」で,人気ネイリストの黒崎えり子氏がデザインを担当した。
図1 「F-08A」は,今まで以上に防水ケータイの持つ「ごつい」「低機能」といったイメージを覆すことに注力したとする。両面テープの活用により,薄型で丸みを帯びた筐体を実現した。女性に向けて美しさを追求したという。写真は4色展開のうちの「Beauty Pink」で,人気ネイリストの黒崎えり子氏がデザインを担当した。
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図2 F-08Aの展示用透明筐体モデル。周囲の白い部分が防水用の両面テープ部分。
図2 F-08Aの展示用透明筐体モデル。周囲の白い部分が防水用の両面テープ部分。
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図3 両面テープと嵌め合いを組み合わせることで,防水性を実現した。
図3 両面テープと嵌め合いを組み合わせることで,防水性を実現した。
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図4 F-08Aの分解モデル。
図4 F-08Aの分解モデル。
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図5 「F-09A」「F-08A」の広告に出演する俳優の瑛太氏とF-09A。「縦にスライドしてから横画面にできるなんてすごい。どうなっているんだろう」といった感想を持ったという。
図5 「F-09A」「F-08A」の広告に出演する俳優の瑛太氏とF-09A。「縦にスライドしてから横画面にできるなんてすごい。どうなっているんだろう」といった感想を持ったという。
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図6 「ヨコスライドモーション」の動きを紹介する展示。左は筐体を閉じて状態。中央は画面を縦方向にスライドさせてテンキーを出した状態。細線同軸ケーブルが大きな弧を描くように収納される。右は,画面を横向きにスライドさせた状態。
図6 「ヨコスライドモーション」の動きを紹介する展示。左は筐体を閉じて状態。中央は画面を縦方向にスライドさせてテンキーを出した状態。細線同軸ケーブルが大きな弧を描くように収納される。右は,画面を横向きにスライドさせた状態。
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図7 F-09Aの分解モデル。細線同軸ケーブルやコネクタからの雑音を避けるため,アンテナはできるだけ遠ざけたという。ワンセグ用のアンテナは「キーケース」下部分に,通信用のアンテナは「コテイリアケース」の左上部分に配置されている。
図7 F-09Aの分解モデル。細線同軸ケーブルやコネクタからの雑音を避けるため,アンテナはできるだけ遠ざけたという。ワンセグ用のアンテナは「キーケース」下部分に,通信用のアンテナは「コテイリアケース」の左上部分に配置されている。
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 富士通は,NTTドコモの2009年夏モデルに供給する携帯電話機2機種について説明会を開催し,それぞれの特徴について詳細を明らかにした(Tech-On!関連記事)。一つは水深1.5m以内で30分間の水中撮影が可能なIPX8等級の防水性を備えた「F-08A」,もう一つはスライド式でさらに画面を横向きに回転できる「F-09A」である。

 防水性は,富士通が注力する携帯電話機の機能の柱の一つだ。今回のF-08Aでは,新たに両面テープを使った防水構造を液晶側の筐体に採用した。防水性を維持しつつ,15.4mmと薄型で側面に丸みを帯びた形状を実現することが目的だ。

 一般に,防水性を持つ電子機器はネジを締めてパッキン(ガスケット)に力を加えるといった構造を採用するものが多い。富士通によれば,この方法ではネジを配置するために,筐体が角張ったデザインになってしまいがちだったという。これに対し両面テープを使うと,薄型の筐体を実現しやすい。これまでに両面テープを採用した製品としては,例えばシャープがソフトバンクモバイル向けに出荷する「824SH」などがある。824SHの場合,液晶側の筐体全面を両面テープで貼り付けて防水するという方法を採用し,薄型化を図っていた。

 富士通のF-08Aでは,筐体の周囲に沿った部分にのみ両面テープを貼り付けて浸水を防ぐ。ただし両面テープのみでは強度を確保するのが難しいため,嵌め合い構造を設けることで耐衝撃性を高め,ネジがなくても落下時の衝撃などに耐えられるようにした。ネジを省ける分,形状の自由度が高く,華奢なデザインを実現しやすいという。ただし,テンキー側の筐体には,従来通りパッキンとネジを使った構造を採用している。電池やコネクタなど厚みのある部品が多く,両面テープを貼り付ける平面を確保するのが難しいためとする。

肝はケーブルの外装材

 もう1機種のF-09Aはタッチパネルを搭載したスライド式携帯電話機である。画面をスライドした状態からさらに画面を回転させて横画面表示できる「スライドヨコモーション」を採用した。タッチパネルを搭載していても,Googleなどの検索サイト利用時など,横画面表示をしながらテンキー入力したい場合を想定して開発したという。実現に当たって肝となったのが,細線同軸ケーブルを束ねたことである。通常は,テープで巻いて30線ほどのケーブルを束ねている。今回は,樹脂繊維を編んだネット状のものでケーブルを束ねた。ケーブルにコシが生じるので,矩形に折れてしまうことがなく,屈曲に対する耐性も高まるという。