米上院議員Maria Cantwell氏
米上院議員Maria Cantwell氏
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 「景気を上向かせるためには,インフラや国の事業に投資することが不可欠だ。中でも,送電網の高度化(スマート・グリッド)に投資することは,大変重要な施策だと思っている」。米ワシントン州の上院議員であるMaria Cantwell氏は,同州で2009年4月6日~4月7日に開催したスマート・グリッド関連イベント「National Smart Grid Conference」の基調講演でこのように語った。イベントには,米電力事業者幹部や連邦政府関係者など,約300人が参加した(Tech-On!関連記事)。

 米オバマ政権が先ごろまとめた景気対策「American Recovery and Reinvestment Act(ARRA)」では,スマート・グリッド関連プロジェクトに対して110億米ドルの予算を計上した。オバマ政権は,こうした巨費を投じることによって米国経済を活性化させることを目指している。今回のNational Smart Grid Conferenceは,この大規模な予算を少しでもワシントン州のプロジェクトに引き込もうとする狙いが見え隠れする。ワシントン州選出の上院議員のCantwell氏が基調講演で言及したのも,ワシントン州の財界の意見を代弁したものと言えそうだ。ワシントン州を,スマート・グリッドの中心地にしたいという考えである。

 ワシントン州には,米エネルギー省(DOE)傘下の電力管理局「Bonneville Power Agency」が運営する発電所の一部が設置されており,米電力産業においても重要な拠点と認識されている。Cantwell氏によれば,ワシントン州には既に28のスマート・グリッド関連企業/団体が存在し,合計20億米ドル以上の売上げ高を稼ぎ出しているという。例えば,今回のカンファレンスの主催者に名を連ねる米Itron Inc.もそうした一社である。Itron社は,電力メーターの大手メーカーであり,最近はネットワーク経由で制御可能な「スマート・メーター」の開発/販売に力を入れている。Itron社のExecutive Chairman of the BoardのLeRoy Nosbaum氏も基調講演に登壇し,「今回の米政府の取り組みは,スマート・グリッドの本格普及への契機になるだろう」と指摘した。