昭和電工とHOYAは,協議を続けてきたハード・ディスク媒体事業の統合を中止する(昭和電工の発表資料 HOYAの発表資料)。統合のため,両社がそれぞれ出資する合弁会社を設立する予定だった(Tech-On!関連記事12)。

 統合を中止したのは,協議を本格的に開始した2008年9月時点と比較して,「ハード・ディスク市場全体が予想以上に落ち込んだため」(昭和電工 広報)である。このため,在庫調整が続いており,ハード・ディスク媒体の製造工場の稼働率は,昭和電工の場合で「生産能力に対して現在40%程度」(同)。デスクトップ・パソコンやノート・パソコン,HDDレコーダー,ビデオ・カメラなどの売れ行き不振からハード・ディスクの市況が悪化したという。

 今回,事業統合を見合わせたが,「協議を再開する可能性は残っている」(昭和電工 広報)。協議再開は,少なくともハード・ディスク市場が回復してからになりそうだ。昭和電工によれば,2009年4月以降,徐々にハード・ディスクの市況が改善すると見込んでおり,「2009年4月ごろに工場の稼働率は60%,7月以降さらに向上し,2010年以降100%に回復するだろう」(同)とみる。

なお,富士通からのハード・ディスク媒体事業の譲渡については,「計画に変更はない」(昭和電工 広報)(Tech-On!関連記事3)。2009年2月に基本合意しており,悪化したハード・ディスクの市況を「織り込み済みのため」(同)とする。