2008年度第3四半期の連結決算を発表するトヨタ自動車代表取締役副社長の木下光男氏
2008年度第3四半期の連結決算を発表するトヨタ自動車代表取締役副社長の木下光男氏 (画像のクリックで拡大)

 トヨタ自動車は2009年2月6日,2008年度第3四半期(2008年10~12月期)の連結決算を発表した。売上高は4兆8028億円(前年度同期比28.4%減),営業損益は3606億円の損失(前年度同期は6015億円の利益),当期純損益は1647億円の損失(同4586億円の利益)で,減収・赤字転落となった。市場の急激な落ち込みの影響が大きい。さらに同社は,2008年度通期の業績見通しを下方修正することも明らかにした。2008年度に通期業績見通しを下方修正するのは,これで3回目となる。

全地域で減収,先進国市場では営業赤字に

 地域別の業績に関しては,すべての地域(日本/北米/欧州/アジア/その他)で減収となったほか,日本/北米/欧州は営業赤字に転落,アジアとその他も営業減益となった。

 日本の業績は,売上高が3兆141億円(前年度同期比24.4%減),営業損益が1642億円の損失(前年度同期は3894億円の利益)だった。損益面での悪化要因で最も大きかったのは,米ドルやユーロに対する円高。次に生産や輸出の減少による影響,諸経費の増加などである。

 日本市場の販売台数は46万5000台となり,前年度同期(54万1000台)から7万6000台減少した。2008年度通期では194万台を見込んでいる。前年度は218万8000台だった。

 北米の業績は,売上高が1兆3390億円(前年度同期比43.5%減),営業損益が2474億円の損失(前年度同期は636億円の利益)だった。損益面での悪化要因は,生産・販売台数の減少,米国販売金融子会社における貸し倒れ関連費用と残価損失関連費用の増加,金利スワップ取引などでの時価評価による評価損の増加などである。

 北米市場の販売台数は52万1000台となり,前年度同期(75万6000台)から23万5000台減少した。2008年度通期では207万台を見込んでいる。前年度は295万3000台だった。ちなみに第1~3四半期累計では187万9000台を販売しているので,第4四半期の販売台数は20万台程度(前年度同期は70万5000台)とみていることになる。

 欧州の業績は,売上高が6605億円(前年度同期比32.8%減),営業損益が434億円の損失(前年度同期は340億円の利益)だった。損益面の悪化要因は,生産・販売台数の減少である。

 欧州市場の販売台数は23万5000台となり,前年度同期(30万8000台)から7万3000台減少した。2008年度通期では103万台を見込んでいる。前年度は128万4000台だった。

 アジアの業績は,売上高が6839億円(前年度同期比15.7%減),営業利益が405億円(同37.0%減)だった。今回の四半期決算で,アジアの売上高は欧州を上回っている。第2四半期までは欧州の売上高の方が多かった。

 アジア市場の販売台数は22万2000台となり,前年度同期(24万1000台)から1万9000台減少した。2008年度通期では89万台を見込んでいる。前年度は95万6000台だった。

通期は4500億円の営業損失を見込む

 同社代表取締役副社長の木下光男氏によれば,第4四半期は第3四半期以上に自動車の販売環境が悪化しているという。こうした状況から,同社は2008年度通期の業績見通しを下方修正する。下方修正後の業績は,売上高が21兆円(2008年12月22日に発表した見通しは21兆5000億円,前年度の実績は26兆2892億円),営業損益は4500億円の損失(同1500億円の損失,前年度の実績は2兆2703億円の利益),当期純損益は5000億円の損失(同500億円の損失,1兆7178億円の利益)となる。なお,設備投資額や研究開発費の修正はない。

 2008年12月22日に発表した見通しと比較した場合,営業損益は3000億円悪化(1500億円の損失から4500億円の損失に修正)している。悪化要因の内訳は,「販売面での影響」が2100億円,「金利スワップの評価損」が900億円である。

 また,2007年度実績と比較した場合,営業損益は2兆7203億円悪化することになる。良化要因は「原価改善の努力」が200億円,悪化要因は「為替変動の影響」が8900億円,「販売面での影響」が1兆3900億円,「諸経費の増加ほか」が4603億円である。

 今回の下方修正の主な理由は,販売台数の減少である。通期連結販売台数の見通しに関して,2008年12月22日に754万台と発表していたが,これを732万台に下方修正した。地域別の修正幅は,日本が-7万台,北米が-10万台,欧州が-1万台,アジアは±0,その他が-4万台で,計-22万台である。

この記事を英語で読む