米Advanced Micro Devices, Inc.(AMD)が製造部門を分離して投資会社と合弁でファウンドリを設立すると発表した件で(Tech-On!関連記事1同2),半導体関連の調査会社である米IC Insights, Inc.がAMD社の発表の翌日,これに関して懐疑的な見解を発表した(発表資料)。

 IC Insights社は「製造部門の分離はAMD社の財務改善につながるだろう。分離しなければ,AMD社の経営は悪化の一途をたどったはずだ。しかし,これは生き残るための施策であって,市場シェアを広げていくための戦略とは違う」とした。

投資規模で競合他社に見劣り

 AMD社は,新設するファウンドリの2009~2013年の設備投資額を36億~60億米ドルと発表した。IC Insights社はこの投資規模を問題視している。

 2004~2008年のAMD社の設備投資額64億米ドルに対し,米Intel Corp.の設備投資額はその4倍の256億米ドルになるとIC Insights社はみている。さらに2009~2013年のIntel社の設備投資額は300億米ドル程度に拡大すると予測する。これはAMD社の計画の上限である60億米ドルの5倍である。ファウンドリ最大手の台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd.(TSMC)の設備投資額は2004~2008年が113億米ドル,2009~2013年も100億米ドルを超えるとIC Insights社は予測する。「新興ファウンドリが契約を獲得するのは簡単ではないし,これではAMD社が次の5年間でシェアを拡大できるとは到底考えられない」というのがIC Insights社の見解である。

SIAは米国新工場を喜ぶ

 AMD社の製造部門分離は半導体業界の関心事となっており,SIA(Semiconductor Industry Association:米半導体工業会)はAMD社の発表当日にさっそくコメントを発表した(発表資料)。SIAは米国内に新工場ができることを歓迎しており「ニューヨーク州に最先端工場が建設されることに喝采を送る」などとしている。