第3回に引き続き,自己評価のための質問項目で最も重要である「F3」の質問項目について紹介していきます。今回紹介するのは「ASNの内容確認」「サブサプライヤーとの電子的なコミュニケーション」です。

ASNの内容確認

以下の図は,自己評価の第4章「顧客対応」のうち,3番目の中項目「出荷」に盛り込まれている小項目の一つを示したものです。この項目は,あらかじめ納品データを顧客に伝えるためのASN(事前出荷明細通知)がタイミングよく,しかも正確な内容で顧客に転送されるようになっていることを確認するためのものです。ここで二つのポイントがあります。1点目は,ASNが運搬車両の出発時に,手入力ではなくシステム上のデータを使って作成されるようになっているということです。第3回の「EDIシステムのERPシステムへの統合」で述べた通り,過去の事例から,データを手作業で入力し直すと,入力ミスやデータの不備を引き起こす可能性が高まることが分かっています。システム上のデータを使用すれば,パーツ番号/発注内容/出荷先などのASNの項目を正確に記入できます。数量/シリアル番号/マスターシリアル番号といったデータは,バーコードを使用して取り込めます。

2点目は,バーコードラベルは可能な限り,出荷の直前に作成するということです。出荷よりもかなり早い段階でラベルを印刷すると,ラベル印刷後に出荷先の変更などが発生した場合に,ほかのラベルが誤って張られてしまったり,誤ったラベルの出荷データを記載してしまったりする恐れがあります。従って,ラベルは出荷の直前に作成するということが重要です。

以下の図は,サプライヤーの出荷担当者が出荷の準備をしているところです。手順2では,出荷担当者がリアルタイムでバーコードをスキャンしながら,出荷物に付けるASNとバーコードラベルを作成しています。この手順が完了すると,システム上のデータが更新され,出荷済みとして扱われます。