MMOG/LEは,サプライチェーン上の要求事項に対するサプライヤーの現状レベルを採点および評価し,もし要求事項を満たしていなければそれを満たすために必要なアクションを特定するためのものです。自己評価ツールは,表計算ソフト「Excel」(米Microsoft社)のスプレッドシート形式になっています。MMOG/LEのスプレッドシートは八つのタブで構成されており,そのうちサプライヤーが入力するタブは「自己評価」「採点表」「ギャップ分析」の三つです。
まず全6章で構成される「自己評価」の206の質問項目に回答していきます*。これによって,自社の資材計画とロジスティクス業務の能力が評価でき,業界の「ベストプラクティス」の導入に向けた「アクションプラン」が策定できます。
* 章>中項目>小項目>質問項目という階層構造になっている。
「自己評価」シートの構成(表示しているのは章および中項目)は,以下の通りです。
- 第1章 戦略および改善
- ビジョンおよび戦略
- 目標
- 判定,分析およびアクションプラン
- 継続的改善
- サプライチェーンの育成
- 第2章 業務組織
- 組織上のプロセス
- 組織上の手順
- 資源計画
- 作業環境および人的資源
- 第3章 能力計画および生産計画
- 製品実現
- 能力計画
- 生産計画
- システムの統合
- 第4章 顧客対応
- コミュニケーション
- 梱包およびラベル貼り付け
- 出荷
- 輸送
- 顧客満足度およびフィードバック
- 第5章 生産および製品管理
- 資材の識別
- 在庫
- 設計変更管理
- レーサビリティー
- 第6章 サプライヤー対応
- サプライヤーの選定
- 資材計画およびロジスティクス ― 合意文書/指示書
- コミュニケーション
- 梱包およびラベル貼り付け
- 輸送
- 資材の受け入れ
- サプライヤーの評価
「自己評価」シートの小項目の例として「第2章 業務組織 (3)資源計画について 項目その2」(2.3.2)を以下に示しました。各小項目で求められているプロセス(質問項目)が組織内で効果的に実施されている場合は,空欄に“X”を入力します。プロセスが効果的に実施されていない場合は,空白のままにしておきます。「自己評価」シートにおける206の質問項目はいずれも重要ですが,継続的改善の活動に優先順位を付けやすいよう,加重得点システムが採用されています。
2.3.2 | サプライチェーンに不測の事態が発生した場合に混乱を回避するための緊急時対応計画が存在する。 | ||
理由 | 緊急時対応計画がなければ,資材計画やロジスティクス・プロセス(組立ラインや作業場を含む)に障害が発生した場合に,顧客への納品が滞る危険性がある。 | ||
基準 | |||
1) | F3 | X | 緊急事態発生時に,あらかじめ定められた機能部門によって組織の緊急時対応計画が実施されるようになっている。また,その体制のテストおよび妥当性確認が定期的に実施されている。 |
2) |
F3 | スタッフが緊急時手順に関してトレーニングされている。 | |
3) | F2 |
X | 発生する可能性があるすべての支障に対する検証済みの手順が,適切なアクションプランおよび復旧計画(生産作業やデータの復旧を含む)とともに文書に定められている。(例:コンピュータまたは通信障害,労働争議,輸送や生産妨害) |