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「論文数にこだわらない博士課程」,JAISTとNIIがソフト工学分野で社会人向けに開設

進藤 智則=日経エレクトロニクス
2008/09/09 18:18
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専門講義科目の一覧。下線部分は,NIIが担当する科目である。
専門講義科目の一覧。下線部分は,NIIが担当する科目である。
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 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)と国立情報学研究所(NII)は,ソフトウエア工学分野における社会人向け博士課程「先端ソフトウェア工学コース」を,2009年4月から開設する(発表資料)(PDF形式の説明資料)。講義を行う場所は,JAISTの本部がある石川県ではなく,東京・田町にあるJAISTの「東京サテライトキャンパス」である。

 3年間のコースで,1年目はソフトウエア工学に関する講義,2年目以降にシステム制作や論文執筆を行う。講義は主に平日夜間,2年目以降の指導教官による研究指導などは週末に行い,企業のソフトウエア技術者が受講しやすいようにする。講義は,JAISTとNIIの教授がそれぞれ担当する。

 今回の博士課程の特徴は,受講生が所属する企業におけるソフトウエア開発現場の問題解決に焦点を当てている点である。従来も社会人向けの博士課程はあったが,「博士号の取得要件として,論文誌への掲載が3本以上など,どうしても学術論文の『数』にこだわる傾向があった。今回のコースでは,質の高い研究であれば,論文誌への掲載がたとえ1本であっても博士号を与える。論文の数よりも,理論の理解と実際のシステムの開発能力を重視する」(JAIST 情報科学研究科長 教授の落水 浩一郎氏)という。

 協力企業としては,NEC ソフトウェアエンジニアリング本部,NTTデータ 技術開発本部 ソフトウェア工学推進センター,富士通研究所,日立製作所 システム開発研究所の4社が名を連ねている。

TopREの第一弾

 今回のコースは,NIIが2008年4月に打ち出した,ソフトウエア工学の若手研究者を養成するプロジェクト「TopRE(research engineer,トップ・アール・イー)の第一弾という位置付けである(Tech-On!関連記事01)

 NIIは2005年9月から,「TopSE(トップ・エスイー)」と呼ぶプロジェクトにおいて,企業のソフトウエア技術者に向けて「形式仕様記述」「ソフトウエアパターン」「モデル検査」「要求分析」「アスペクト指向開発」「コンポーネントベース開発」といったソフトウエア工学の先端トピックを,1年半に渡って講義してきた(Tech-On!関連記事02)(Tech-On!関連記事03)。TopSEは基本的には修士課程レベルの内容だが,TopSEの修了制作の中で博士レベルでも通用するような内容が出てきたため,TopSEの発展型としてTopREの構想が立ち上がった。TopREは当初から他の大学と連携して開設する方針であり,その第一弾として今回のJAISTとの連携が実現した。今回のコースの講義科目の約半数は,NIIの「TopSE」などと共通のものである。

 なお,今回のコースは,文部科学省が推進する「産学人材育成パートナーシッププログラム」により実施される。同プログラムは,「電気電子」「機械」「材料」「原子力」など約9個の分野があり,合計19件の申請があった。JAISTとNIIは,2008年7月に同プログラムの「情報処理」分野において唯一のプロジェクトとして採択されている(文科省による採択結果の一覧)(文科省による発表資料)

 JAISTとNIIは,「理論と現場を両方理解できるソフトウエア工学の博士号を持った専門家が,大企業の各ソフトウエア開発現場に一人くらいはいるような環境を作っていきたい」との目標を掲げる。2009年4月の開設時の定員は,10人程度を想定する。2008年11月2日に説明会を開催,出願締切は2009年1月9日,入学試験は2009年1月~2009年2月の期間に実施の予定である。

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