ゲーム・ソフトウエア大手のスクウェア・エニックスは2008年8月29日,同業のテクモに対し,テクモ株式の公開買付を提案した。提案の骨子は,テクモの株式総数の過半数を取得すること,買付価格を1株920円(2008年8月28日の終値に30%強のプレミアムを加えたもの)とすること,2008年9月4日をテクモ側の回答期限とし,テクモの賛同がなければ買付は実施しないこと。

 スクウェア・エニックスはテクモを「世界市場で実績を持つ極めて優れたクリエーター集団。数少ない我が国の資産」と評価。買収成立後もテクモの組織やブランドは維持し,スクウェア・エニックスやタイトーと同様に,スクウェア・エニックス・ホールディングス傘下の企業と位置づける考え。

 テクモは「モンスターファーム」シリーズなどで知られるゲーム・ソフトウエア・メーカー。2008年上期の連結決算は,売上高が前年同期比5.1%増の67億9300万円,営業利益が同5.2%減の12億4700万円と増収ながら減益だった。家庭用ゲーム機向けは好調ながら携帯電話機向けや遊技機向け,アミューズメント施設運営などの分野で苦戦している。

 なお,スクウェア・エニックスが買収提案を公表して約8時間が過ぎた同日17時,テクモはこの件に関して「現在,対応を検討している。現時点で決定している事実はない」との声明を発表した。

《追加》記事初出時にはなかった第4段落を2008年8月29日17時過ぎに追加しました。