三洋電機は,エレクトロニクス事業の製品戦略とコスト削減活動の概要を明らかにした。製品戦略では,他事業や異分野との連携・融合を重視する。またコスト削減活動では,製品分野を超えた枠で「機能軸」を強化し,設計や生産,調達など各工程に潜むムダの排除を目指す。

目標達成の施策を発表

 同社は,2007年度(2007年4月~2008年3月)連結決算の発表の場で,グループ全体の中期経営計画(2008~2010年度)を公表しており(Tech-On!の関連記事),今回の発表内容は同計画の目標値を達成するための施策という位置付けになる。

 中期経営計画では,2010年度に連結での売上高を2兆3800億円,営業利益を900億円に引き上げることを目標に設定している。そのうち,主力となるエレクトロニクス事業(デジタル家電,電子部品,半導体,車載機器)では,2010年度に売上高が1兆1500億円,営業利益が520億円と見込んでいる。

中期経営計画における連結売上高・営業利益の目標(三洋電機の資料)
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エレクトロニクス事業の売上高・営業利益の目標(三洋電機の資料)
エレクトロニクス事業の売上高・営業利益の目標(三洋電機の資料) (画像のクリックで拡大)

従来は縦割り意識が強かった

 同社では,各事業の下に,幾つかの製品分野を統括するカンパニーがある。エレクトロニクス事業の場合,テレビやプロジェクタ,デジタル・スチル・カメラ,デジタル・ビデオ・カメラを扱う「デジタルシステムカンパニー」と,キャパシタ(コンデンサ)や精密デバイス(光ピックアップやモーター)などを扱う「電子デバイスカンパニー」がある。この各カンパニーにおいて,開発・設計,生産,調達などの各工程で重複などのムダを廃し,リソースの有効利用を図る。従来は縦割り意識が強く,横断的なコスト削減はほとんど行われていなかったと,同社常務執行役員でデジタルシステムカンパニー副カンパニー長 兼 経営企画室長の久保盛弘氏は語る。

 こうした横断的なコスト削減活動において取りまとめ役を果たすのが,各カンパニーの経営企画室である。2008年4月に機構改革を行い,生産技術や品質,購買などに関して,各製品分野に散らばっていた機能を経営企画室に集約した。これらの機能に関しては,比較的早期に成果を出せると,同社はみている。一方,開発・設計に関しては具体策を探っている段階だという。

機能軸の強化(三洋電機の資料)
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機能軸の強化における「三本柱」(三洋電機の資料)
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電子デバイスカンパニーにおける機能軸の強化(三洋電機の資料)
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