三洋電機は2007年4月~2008年3月の連結決算を発表した(発表資料)。売上高は前年度比7%増の2兆178億円,営業利益は335億円増の761億円だった。当期純利益は2006年度の454億円の赤字から287億円の黒字となり「4年ぶりの最終黒字になった」(同社 代表取締役社長の佐野精一郎氏)。なお,今回発表した業績では,京セラに譲渡した携帯電話機事業分を除いている。

 部門別では以下の通り。民生機器を扱うコンシューマ部門の売上高は前年度比11.8%増の7567億円だった。特に好調だったのはデジタル・カメラで,売上高は前年度比909億5800万円増の2127億8600万円と大幅増収になった。業務用機器などを扱うコマーシャル部門は,売上高が同3.0%減の2625億円だった。大型エアコンやショーケースが中国で好調だったものの,日本国内での大手流通チェーンの出店減少による低迷が影響した。電子部品を扱うコンポーネント部門の売上高は,同8.9%増の9533億円となった。Liイオン2次電池事業が伸びたほか,欧州を中心に太陽電池事業が好調だったとする。半導体事業は売り上げが減少した。

営業利益1000億円に


 三洋電機は,中期経営計画についても明らかにした。前期にあたる2005~2007年度について,構造改革などを進めることにより「500億円の利益を安定的に出せる体制を整えられ,(2005年11月以降記載していた)『継続企業の前提に関する注記』を今期から解除することができた」(佐野氏)とする。2008~2010年度については,2010年度に営業利益1000億円以上を目標として積極的な経営に転換するとした。2010年度の売上高は2兆3800億円,営業利益は900億円を目指す。

 ただし,2008年度については,売上高は2007年度比0.1%増の2兆200億円,営業利益は34.3%減の500億円と見通している。これについては,高収益基盤の確立に向けて前倒しで投資を進めるための一時的な減益と説明する。中期経営計画での3年間における設備投資費は,前期3年間に比べて1300億円増の3600億円である。特に力を入れるのは部品3事業で,具体的には2次電池事業に1250億円,太陽電池などのソーラー事業に700億円,キャパシタや光ピックアップなどの電子部品事業に550億円である。

 不調の半導体事業については,集中と選択を積極的に進め収益強化を図るとした。具体的には,採算の悪いパソコン向け光ディスク装置用信号処理LSIを止め,パソコンや携帯電話機に向けた電源LSIに注力するという。家電製品については,現時点で不採算製品は生産を停止している。これは,国内量販店に向けたエアコンとテレビのことであり,いずれも中国で生産していた。

 また,発表会において佐野氏は「シャープとの相互補完を進める」と発言した。既に,三洋電機はシャープに2次電池などを供給したり,2008年度から三洋電機がシャープから液晶パネルの供給を受けて北米市場向け液晶テレビに使用したりするなど,部品供給の関係がある。さらに現在,三洋電機の調理家電とシャープの健康家電について,相互補完ができるのではないかと検討を進めているという。

図 2010年度に向けた事業領域別の売上高と営業利益の目標値。太陽電池について,2010年時点での生産能力を0.6Wとしており,欧州・北米を中心に海外売り上げ規模は現在の2倍となる1000億円以上に拡大するという。
図 2010年度に向けた事業領域別の売上高と営業利益の目標値。太陽電池について,2010年時点での生産能力を0.6Wとしており,欧州・北米を中心に海外売り上げ規模は現在の2倍となる1000億円以上に拡大するという。
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