日本映像ソフト協会は2008年6月17日,映画の私的複製の範囲および私的録音録画補償金のあり方などについて,同協会の考え方を明らかにした(発表資料)。

 同協会はまず,「映画の著作物の利用には権利者がその権利を行使できるようにすべき」との考え方を示した。映画製作者などの権利者は,著作物から経済的価値を収穫する権利を本来的に保有するため,第三者が利用する際は対価を支払うなどの行為によって,権利者の許諾を得ることが当然と主張する。このため,著作物の複製に関して,権利者が許諾権を行使できない場合でも,権利者は何らかのフィードバックを得られるべきとし,「権利者の具体的な逸失利益が立証されない限り,複製権は補償金なしに制限されるべき」との見解には賛同できないと説明した。

 さらに,同協会は以下の2つを主張する。一つは,「映画コンテンツのパッケージ商品からの私的複製を許容する必要はない」ということである。パッケージ商品として提供される映画コンテンツを利用するためには,購入など対価を支払うことが原則とする。また,コピーを不可能にする技術的制限を回避して私的複製を行った場合は,違法とすることが必要とした。

 もう一つの主張は,「放送される映画コンテンツには私的録画補償金制度の適用すべき」ということである。タイムシフト目的の録画でも,権利者の許諾が必要なことは変わらず,権利者にはフィードバックがあってしかるべきと主張する。また,放送されたコンテンツの録画によるパッケージ・ビジネスへの影響は大きく,仮に直接的に売り上げが減少しなくても,私的録画保証金は必要とした。加えて,私的録画補償金が不要になるためには,以下の2つの条件が必要とする。一つは,映画製作社がどのような範囲で私的複製を許諾するかを個別に選択可能,かつ技術的にその範囲に私的録画を制限可能になること,もう一つは,その技術的制限を回避して私的録画が行われた場合は違法とすることである。