シャープは,同社の液晶テレビ「AQUOS Xシリーズ」に向けたHDTVの無線伝送システムに,イスラエルAMIMON,Ltd.の無線チップセットを採用した。シャープは2008年春からXシリーズの販売を開始しており,この無線伝送システムも,4月後半から店頭に並び始めた。
AMIMON社の無線伝送チップセットは,最大データ伝送速度が1.5Gビット/秒と高速な点を特徴とする。720p/1080iのHDTV動画を非圧縮で伝送できるという。5GHz帯利用で約20MHz幅の無線チャネルを使う。60GHz帯のミリ波伝送に比較して,電波が飛びやすいことから,家庭内におけるAV機器間ネットワークの伝送媒体に向くと,AMIMON社は主張していた。
AMIMON社のチップセットを使った試作機は数社が発表しているが,実際にシステムを発売したのはシャープが初めて。シャープのシステムでは,同一部屋内であれば20m程度伝送できるという(Tech-On!の関連記事)。
AMIMON社のチップセットは,独自開発の信号処理技術とMIMO技術を採用する。同社はこのインタフェース技術を「WHDI(Wireless High-Definition Interface)」と名付け,普及活動を進めている(Tech-On!の関連記事)。将来的には,WHDI準拠を証明するためのロゴ認証なども進めていくとしている。また同社は,40MHz幅のチャネルを使うことで,最大データ伝送速度を高め,1080pのHDTV動画の伝送に対応するシステムも開発している。