村田製作所は2007年度(2007年4月~2008年3月)の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年比11.4%増の6316億5500万円で2ケタの増収を達成した。営業利益は同2.1%増の1157億5200万円,純利益は同8.6%増の774億1300万円だった。売上高の伸びに対して利益の伸びが小さいのは,製品の価格下落の進展や円高の影響,大規模な設備投資によって減価償却費の負担が大きくなったことなどによるという。同社は2007年度に,生産設備や研究開発を含めた設備投資を1256億円行っている。

 製品別に売上高を見ると,好調だったのはコンデンサ事業とモジュール製品事業。主力のコンデンサ事業は,対前年比15.9%増の2494億円を売り上げた。1μF以上の大容量品の売上高は,AV機器や通信機器,パソコン向けといったあらゆる用途で好調で,同30%程度の伸びを示した。0603サイズ以下の小型品も,通信機器向けを中心に伸び,同35%程度の増収となった。コンデンサの需給バランスは,メーカーと代理店が在庫を蓄積したことによって2007年度第4四半期に悪化したが,「2008年度第1四半期の終わりごろから需給が拮抗してくるだろう」(取締役専務執行役員の藤田能孝氏)との見方を示した。

 モジュール製品事業は最も売り上げが伸びた事業。売上高は対前年比33.3%増の791億円。村田製作所は2007年8月に,電源関連部品を手掛ける米C&D Technologies, Inc.のPower Electronics事業部を買収しており(Tech-On!の関連記事),この事業部の売上高107億円を加えたことが,大幅な増収につながったという。ただし,C&D Technologies社の買収による増加分を除いたモジュール製品事業の売上高も,前年比で15%増加しており,モジュール事業は好調といえる。携帯電話機向けの地上デジタル放送用チューナや通信機器用モジュールも伸びた。

 圧電製品事業は堅調で,売上高は対前年比13.7%増の927億円。同事業の売上高の40~45%を占める表面波フィルタは同30%の増収。携帯電話機の生産台数の増加と,マルチバンド化による部品点数の増加が増収に貢献した。HDD向けやカーエレクトロニクス向けの圧電センサも,前年から25%の増収となった。

 一方,唯一減収となったのは高周波デバイス事業。対前年比7.6%減の1054億円を売り上げた。Bluetoothモジュールを含む近距離無線通信モジュールが前年比で30%を超える減収となったのが,足を引っ張った。

 2008年度(2008年4月~2009年3月)の業績については,売上高を対前年比4.5%の6600億円,営業利益を同30.9%減の800億円,純利益を同31.5%減の530億円と見込む。利益に関して厳しい見通しにしたのは,設備投資の減価償却費の負担が大きいためとする。

 同社が開発中のLiイオン2次電池の進捗状況については,「試作ラインを入れたところで,研究開発段階にある」(藤田氏)と説明した。

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