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 2008年4月22日から米サンフランシスコ市で行われていたWeb業界のイベント「Web 2.0 Expo San Francisco(Web 2.0)」の3日目に行われた講演で,米Yahoo! Inc.,Chief Technology OfficerのAri Balogh氏は,現在進行中の同社のWebサイトの大幅な刷新計画「Y! OS(Yahoo! Open Strategy)」の一部を明らかにした。

 Balogh氏は「我々は現在,Yahoo!を完全に作り直している。目的は我々のWebサイトの財産の全てをWeb開発者に公開すること」と述べ,今回のサイト刷新計画の目的が,同社のWebサイトを,Webアプリケーションの開発プラットフォームとして公開する点にあると説明した。

 Balogh氏が明らかにしたのは,Y! OS計画のほんの概要である。それでも,第三者が開発したWebアプリケーションを自由にYahoo!のWebサイト内のさまさまな箇所に配置できるというY! OSの基本戦略はかいま見えた。「我々のトップ・ページにGoogle社が開発したアプリケーションを搭載しても問題ない」(Yahoo!社の社員)。

 Yahoo!社は,Y! OSの初期バージョンを今年中に提供する予定である。だが,同社は既にYahoo!の検索結果内に第三者のWebアプリケーションを搭載可能にする「Search Monkey」(同社公式ブログの関連エントリ)と呼ぶプラットフォームのベータ版を公開している。これがY! OSの第一歩であるとする

 Balogh氏によると,Y! OSは基本的に3つの項目から構成される。
 1)開発ツールと,開発されたアプリケーションをホスティングするアプリケーション・プラットフォーム
 2)「Social Platform」と呼ぶYahoo!ユーザーのコンタクト情報などの統一プロファイル。ユーザーの許可を得れば,第三者の開発者がこのプロファイル情報を利用できる
 3)Yahoo!サイト内のSNS(social networking service)系のサービスを統一し,各サービスのサーバーAPIを一貫性がある方法で公開する作業

 Balogh氏は,Yahoo!社の携帯端末向けの新しい検索サービス「Yahoo! oneSearch 2.0」で提供する携帯端末向けの検索でもSearch Monkeyを対応すると明らかにした。このサービスは2008年4月1日からの日程で米ラスベガス市で開催されたモバイル業界のイベント「CTIA WIRELESS 2008」で発表したもの(TechOn!関連記事)。このことから,Y! OSが携帯端末向けのWebにおいても利用できると思われる。

Ari Balogh氏
Ari Balogh氏
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Y! OSを使って第三者が開発したWebアプリケーションの例。Yahoo! Sportsのサイトが掲載したイベントに関するチケットを,スポーツ関連のチケットを販売する第三者のWebサイトから購入できる
Y! OSを使って第三者が開発したWebアプリケーションの例。Yahoo! Sportsのサイトが掲載したイベントに関するチケットを,スポーツ関連のチケットを販売する第三者のWebサイトから購入できる
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Y! OSの技術構成
Y! OSの技術構成
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