米HDMI Licensing, LLC PresidentのSteve Venuti氏
米HDMI Licensing, LLC PresidentのSteve Venuti氏
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 デジタル・インタフェース「HDMI」は,2002年12月に1.0版が策定されて以来,デジタル・テレビやHDDレコーダーをはじめ,AVパソコン,ビデオ・カメラやデジタル・カメラといった携帯機器にまで搭載されるようになった。HDMIのライセンス供与や,普及活動などは,米Silicon Image,Inc.の子会社である米HDMI Licensing, LLCが担当している。今回は,同社Presidentとして2008年4月8日に就任したばかりのSteve Venuti氏に,HDMIの市場動向や今後の展開について聞いた。(聞き手:根津 禎,佐伯 真也=日経エレクトロニクス)

――HDMIは現在,どの程度普及しているのか。
Venuti氏 HDMI端子を搭載する機器は順調に増えている。米国の市場調査会社In-Stat Group社の調査によると,2008年にはHDMIを搭載した機器が約2億2900万台,2010年には10億台以上,出荷される予定だ。

――今後,HDMIのさらなる用途拡大を進めていく中で,ターゲットとしている製品分野はどこか。

Venuti氏 搭載が進むと予想される分野の一つに携帯機器がある。既にデジタル・ビデオカメラやデジタル・カメラの高級モデルには搭載が進んでいる。これらの機器では今後,普及モデルへの搭載が進むとみている。HDMIを搭載する携帯電話機や携帯型メディア・プレーヤー(PMP)もまもなく登場するだろう。

――HDMI 1.3には既に携帯機器への搭載に向けた小型コネクタの仕様がある。だが,携帯電話機やPMPへの搭載を考えると,この仕様ではサイズが大きすぎて搭載が難しいとの意見があるが。

Venuti氏 HDMI 1.3で規定してある小型コネクタを携帯電話機やPMPに搭載するには,サイズと消費電力という二つの問題を解決しなければならない。具体的なことは言えないが,小型化や低消費電力化された製品が登場する可能性はある。

――親会社であるSilicon Image社は「2008 International CES」にて,HDTV映像伝送用の規格として「MHL(mobile high definition link)」を発表した( Tech-Onの関連記事)。HDMI Licensing社としてMHLをどのように見ているのか。

Venuti氏 MHLはSilicon Image社が独自に普及を進めている試みだと認識している。端子数などHDMIと異なる部分は多いため,HDMIとMHLは全く別の規格だ。ただしMHLが将来,HDMI Licensing社で議論される可能性については否定も肯定もしない。

――HDMI自体を置き換える可能性のある技術として,「WirelessHD」といった無線技術が台頭してきている。

Venuti氏 こうした無線技術によって,HDMIが置き換えられることは当分ない。パソコンの場合を考えてみてほしい。パソコンでは有線LANと無線LANが両方使える。このように,HDMIは,今後約10年間,無線技術とともに一つの機器で共存していくだろう。

――1.3a版が策定されてから1年以上経つ。もうそろそろ次のバージョンが登場してもおかしくないはずだが。

Venuti氏 次のバージョンについては,策定に向けて協議中としか言えない。具体的な登場時期も言えないが,できれば2008年中に新しい仕様を発表したいと思っている。