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6月2日のダビング10開始に間に合わない――,総務省の委員会でメーカーの委員が発言

  • 山田 剛良=日経エレクトロニクス
  • 2008/04/25 23:23
  • 1/1ページ

 運用切り替え期日を早く確定してほしい。繰り返しになるが,我々が何を困っているかお話ししたい――。質疑応答が始まるとすぐ,委員の一人で松下電器産業の中島不二雄氏が静かに話し始めた。穏やかな口調と裏腹に,訴えられた内容は切実だった。「流通やサポートの準備,ユーザーへの告知を考えると30日程度の準備期間が必要になる。ゴールデンウイーク明けに決めてもらわないと,6月2日のダビング10開始に間に合わない」。

 中島氏の発言があったのは,2008年4月25日に総務大臣の諮問機関である情報通信審議会が開催した「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会(デジコン委)」の第36回会合の席上である。地上デジタル放送(地デジ)など無料デジタル放送の複製制御の運用を,コピーワンスからダビング10に切り替える予定日としてデジタル放送推進協会(Dpa)が公表している「6月2日午前4時」という期日が,現在に至るまで暫定的な「予定」のままであることによって,6月2日の期日に製品側の対応を間に合わせられない状況になりつつあると説明した(Tech-On!関連記事)。

 中島氏によると,松下電器は過去の機種も含めたダビング10対応のために,放送波を使ってアップデータを事前に配布し,運用切り替え期日前に録画機のファームウエアを書き換える方式をとる計画だという。放送波の時間情報を使い,期日と同時にダビング10対応に動作モードを切り替えるため,アップデータの配布前に運用切り替えの正確な期日が決まっている必要がある。また,ユーザー規模などを考えると期日の10日前には配布を始めたいという。さらに,ユーザーへの事前告知や,販売店やサポート部門へはそれ以前から情報提供を始める必要がある。こうした理由で期日を確定したうえで,30日程度の準備期間が必要だとした。

 中島氏が「繰り返しになる」と述べたのは,2008年4月11日に非公開で行われた前回(第35回)のデジコン委で,同様の問題を日立製作所の田胡修一委員が指摘していたからだ。田胡氏は今回も同様の発言をしている。この指摘に対応する形でデジコン委は前回,「フォローアップWG」の設置を決めたという。

 フォローアップWGは「デジコン委の『第4次答申』で,並行して記載された事項,共通認識として記載された事項についてフォローアップし,委員の間で共通理解を深める」(総務省 情報通信政策局 コンテンツ流通促進室 室長の小笠原陽一氏)。ダビング10実施のための用件を整理し,運用切り替え期日をデジコン委として確定するのが主な任務と思われる。委員の一人であり,Dpa技術委員会の委員長でもあるフジテレビジョンの関祥行氏は,運用切り替え期日の決定プロセスについて,「フォローアップWGの報告を受け,デジコン委で合意したうえで,Dpaの場で最終決定することになると思う」と述べた。

 ただし,デジコン委の次回日程は「5月13日」(小笠原氏)の予定になっており,ダビング10への運用切り替え期日の最終決定は早くても5月中旬以降になりそうだ。家電メーカー各社が中島氏の説明と同様の状況だとすると,仮に6月2日に運用切り替えを強行しても,ダビング10対応機器は1台もないことになる。こうした状況からダビング10の実施が6月2日から延期される可能性も出てきた。

 なお,今回の会合では発表されたフォローアップWGのメンバーは以下の通りである。主査は慶應義塾大学 教授の中村伊知哉氏。メーカーからは田胡氏と中島氏,ソニーの所眞理雄氏,東芝の土井美和子氏,放送局から関氏と日本放送協会の土屋円氏,権利者から日本映画製作者連盟の華頂尚隆氏と実演家著作隣接権センターの椎名和夫氏,消費者から主婦連合会の河村真紀子氏と生活経済ジャーナリストの高橋伸子氏の合計11名である。

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