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【解説】6月2日の「ダビング10」放送開始,予定が確定に変わるのはいつか

長谷川 博=日経ニューメディア
2008/04/22 19:41
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 無料デジタル放送のコンテンツ保護技術をコピーワンスからダビング10に切り替える予定日の2008年6月2日が迫ってきた。タイムリミットまで 6週間となり,チューナー内蔵録画機のメーカーから,「もう準備が間に合わない」という悲鳴が上がっている。6月2日という期日はあくまで予定であり,いつまでたっても「確定」にならないからだ。

 6月2日をダビング10の正式な切り替え日にすることができない理由は,無料のデジタル放送を私的録音・録画補償金制度の対象にするかどうかの結論が出ていないことである。この問題については,文化庁の文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」が議論を進めている。メーカーは「ダビング 10と補償金は本来別の議論であり,早く移行日を確定すべき」と主張する。しかし放送業界に詳しい関係者によると,「コンテンツ側が納得しない限り,放送業界はダビング10の放送に踏み切れない」と指摘する。放送事業者が日常業務である番組の制作や調達を円滑に行うためには,コンテンツ業界の関係者と良好な関係を維持することが望ましい。このような事情を考えると,コンテンツ業界が同意をしていない段階で,放送事業者がダビング10の放送を開始するとは考えにくいためだ。文化庁の小委員会は2008年5月8日以降の会合で,補償金制度に関する議論をひとまず収拾するための暫定的な結論を模索することになっている。ここでコンテンツ業界が納得できない結論が出ると,ダビング10の移行が宙に浮く危険性すらある。

 こうした状況では,録画機メーカーはダビング10への対応に慎重にならざるを得ない。ダビング10への切り替え日より前に同方式の対応製品を出荷しユーザーが録画すると,その製品は有料のBSデジタル放送であるWOWOWやスター・チャンネルの番組をダビング10の番組として処理してしまうからだ。このため,6月2日前に出荷する製品についてタイマーを設定し動作を切り替えるという手法はとれない。6月2日以降の出荷品についても当面は「切り替え以降に,放送波を使ったダウンロードによる受信機ソフトウエアの書き換え」という手段をとらざるを得ない状況である。

 録画機メーカーなどが間に合わないと主張する理由は,流通を抱えるからである。製品の配送だけではなく,パンフレットや説明書の準備,さらにはユーザーへの周知など,録画機にとってダビング10は最重要機能であるだけに事前の作業は膨大である。例えば録画機のソフトウエアをバージョンアップするためには,新しいソフトウエアが送られる時間に電源を入れておく必要がある。この工程を得ないまま録画すると,ダビング10にならずユーザーの苦情が殺到する。このため,1カ月弱は告知期間として十分とは言いがたい。

技術的な準備は粛々と

 デジタル放送推進協会(Dpa)の関係者はこうした状況を認識しつつも,「6月2日の旗は降ろさない」という。この期日を維持することで,関係者が早期の解決を進めることを期待しているようだ。技術的な準備も粛々と進めている。

 地上デジタル放送やBSデジタル放送などの受信機メーカーは,自社製品がダビング10とコピーワンスの両方の信号に反応するかの動作試験を進めている。動作試験の結果は,Dpaに報告される。Dpa関係者は,「実験結果に問題がなければ今週(2008年4月20~26日)中に,技術的にはダビング 10への切り替えに問題がないことを確定できる」という。

 こうした厳しい状況のなかで,情報通信審議会情報通信政策部会の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」は第35回会合(2008年4月11日開催)で,新ワーキンググループ(WG)の設置を決めた。このWGは,情通審のデジタルコンテンツの流通促進に関する中間答申(2007年8月公表)に盛り込まれた課題の確認とフォローアップを目的とする。

 この中間答申では,地上デジタル放送のコンテンツ保護技術をコピーワンスからダビング10に変更すべきと提言した。さらには「クリエーターに適切な対価を還元するための制度やルールの在り方について検討を進め,可能な限り早期に具体策がまとめられることを期待する」という見解も示した。Dpaの関係者は,「実力者が集まるこのWGで議論が前進するのではないか」といちるの望みを託している。

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