リコーの2007年度(2007年4月~2008年3月)決算は,売上高が前年度比7.3%増の2兆2199億8900万円,営業利益が同4.1%増の1815億500万円と増収増益だった。プリンタや複写機などのハードウエアの売上高が前年度比3%減,消耗品などの非ハードウエアの売上高が同11%増となった。ハードウエアでは,カラー機種の売上比率が高まっている。主力の複写機は, カラー機の売上比率(出荷金額ベース)が前年度の40%から48%まで上昇した。特に日本市場では59%となっている。

 増収増益のリコーだが,2008年1月時点での予測は未達となった。売上高で300億円,営業利益で64億円,予測を下回っている。2008年に入っても北米事業の不振が続き(Tech-On!関連記事1),日本や欧州の市場にも減速感が出てきたためと同社は説明する。

 北米事業は下期に赤字を出し,通期の営業利益率は0.5%となった。取締役専務執行役員の三浦善司氏は,サブプライム・ローン問題に端を発する景気の減退といった外的要因のほかに内的要因があったと話す。同社は北米地域で積極的な事業買収を行ってきたが,買収後の事業統合に時間がかかったとする(Tech-On!関連記事2)。「会社の歴史や使ってきたシステムも違う中で性急に進めすぎたかもしれない。例えば,システムに関しては『従来より効率が悪く感じるかもしれないが,こういう理由で使う』といった説明を十分にすべきだった。2008年5月でシステムの統合そのものは完了するが,内部的な課題は残りそうだ」(三浦氏)。同社は北米事業の人事を2008年1月に刷新しており,新体制下で北米事業の立て直しを図る。

 ただし,2008年度も北米事業は伸びず,特に上期は低迷すると同社は予測している。「直販比率の拡大を急いだために一部ディーラーが離反した。競合他社が一部ディーラーを買収したこともあり,簡単には回復できない状況」(三浦氏)。2008年度の全社の売上高は前年度比1.8%増の2兆2600億円,営業利益は同0.8%減の1800億円を見込む。