スズキは,2007年度(2007年4月~2008年3月)の連結決算を発表した。売上高は3兆5024億1900万円(前年度比10.7%増),営業利益は1494億500万円(同12.4%増),当期純利益は802億5400万円(同7.0%)を計上し,増収・増益を達成した。アジア市場での成長が増収・増益に大きく貢献している。

 営業利益の増減要因は,以下の通り。増益要因は,モデルミックス(販売車種構成比)の変化(良化)が+609億円,原価低減が+284億円,為替差益が+225億円で,計+1118億円。減益要因は,諸経費の増加が-469億円,原材料費の高騰が-201億円,研究開発費の増加が-166億円,減価償却費の増加が-117億円で,計-953億円。差し引き165億円の営業増益である。

 事業別セグメントは,2輪車/4輪車/その他(主に船外機)のすべてで増収を達成したが,2輪車では営業利益が前年度から50.3%減少した。主な要因は,北米市場での販売の低調である。4輪車とその他は営業増益を達成している。

 所在地別セグメント(セグメント間の内部売上高などを含む)は,日本とアジアが増収・営業増益,欧州とその他が増収・営業減益,北米が減収・営業赤字化である。

 2007年度第4四半期(2008年1~3月)の業績(第1~3四半期の累計値を通期の値から引いたもの)は,売上高が9237億400万円(前年度同期比0.2%減),営業利益が323億5800万円(同4.5%減),当期純利益が125億6900円(同28.2%減)で,減収・減益だった。第3四半期までは,売上高・営業利益共に2ケタの増収・増益できており,急ブレーキがかかった形だ。主に北米市場での景気後退が影響している(第3四半期までの業績に関するTech-On!の関連記事)。

 2008年度通期の業績は,売上高が3兆5000億円(2007年度通期比0.1%減),営業利益が1400億円(同6.3%減),当期純利益が800億円(同0.3%減)と,ほぼ横ばい(厳密には減収・減益)を見込んでいる。「これまで十数年にわたり極端な右肩上がりの成長を続けてきた。2008年度は内容の見直しをしなければならないと思っている」(同社会長の鈴木修氏)。同氏によれば,減収・減益の見込みを外部に向けて発表することは経営者として本意ではないものの,北米市場の景気が後退しているほか,原材料費が高騰している状況にあってはこのあたりの見込みにとどめておくのが妥当だったという。為替に関しては,対米ドルが102円(上期は110円/下期は95円),対ユーロが155円(同160円/150円)を見込んでいる。

 ただし,2009年度以降は再び成長を目指す。売上高が3兆5000億円に到達したことから,2007年4月に修正発表した中期5カ年計画(2005年4月~2010年3月)の目標値を前倒しで達成したことになった。これを受け同社では,残りの2年間に2010年度(2010年4月~2011年3月)を加えた中期3カ年計画(2008年4月~2011年3月)を策定。決算に合わせて公表した。その内容は,2010年度に連結売上高は4兆円(うち4輪車は3兆3000億円),世界販売台数は2輪車が440万台(2007年度は339万台),4輪車が295万台(同241万台)を目指すというものである。

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