パイオニア代表取締役社長の須藤 民彦氏
パイオニア代表取締役社長の須藤 民彦氏
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事業別の営業収入と営業利益
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4本の事業方針
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シャープとの協業
シャープとの協業
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 パイオニアは7日,17時から都内で報道関係者および投資関連会社を対象とした企業説明会を開催した。プラズマ・テレビのパネル(PDP)を次期モデルを最後に自社生産を中止して外部調達に切り替えるなどディスプレイ事業の構造改革(Tech-On!関連記事)を中心に,各事業の今後の取り組みについて説明した。カー・エレクトロニクス事業の拡大を図るとともにディスプレイ事業の適正規模化を図り,「生産設備の減損を,ホームエレクトロニクス事業で2010年3月期の黒字化に貢献させる」(同社代表取締役社長の須藤民彦氏)とした。

PDP生産設備の減損190億円

 2008年3月期の通期連結業績予想を修正した。1月31日の予想で税引前利益が260億円だったものを,PDP生産設備について190億円の減損を見込むことで,70億円に修正した。さらに繰り延べ税金資産の評価に伴う減損20億円を見込むことで,当期純利益を150億円の損失になるとした。

 ディスプレイ事業については,ブランド・イメージに沿った高画質・高音質製品という基本戦略を継続するものの,プラズマ・テレビのコスト競争力が厳しくなったとして,次期製品でパネルの自社生産を中止し,外部調達に切り替えるとした。同社の独自技術については,供給を受けるパネルに技術を折り込むことを協議中とした。これに伴う雇用は確保し,他の事業への振り分けを検討するとした。

カー・ナビ事業を拡大

 ディスプレイ事業を垂直統合モデルから水平モデルに変更するのに伴い,基幹事業戦略として(1)カーエレクトロニクス事業の成長,(2)ホームエレクトロニクス事業の黒字化,(3)スピーカー事業の売上拡大,(4)シャープとのリソースの共同活用──を挙げた。カー・エレクトロニクス事業では,カー・ナビゲーション事業の拡大,PND(personal navigation device)へのAV機能組み込みなどの高付加価値化,OEMなどの市場拡大を挙げた。「先進国のナビ市場の減速を補うためにBRICs向けの拡大やDVDへのメディア・シフトで単価の下落を防ぐ」(須藤氏)とした。

 ホーム・エレクトロニクス事業では,AV製品の売り上げ拡大を目指し,壁掛けテレビを目指したワイヤレス化やネットワーク化に対応するとした。またBlu-ray装置は自社開発は再生専用機のみとし,レコーダーは他社との共同開発をするとした。またパッケージ販売により外販を拡大するとした。

 スピーカー事業は,業務用カテゴリーの拡大,携帯電話機向けスピーカー・ユニットの取引先拡大,薄型テレビ向けの独自のスピーカーの開発を挙げた。開発と生産を東北パイオニアに集約し,効率化を図り,中期的に事業規模を1.5倍に拡大するとした。

シャープとの成果を秋に発表

 シャープとの業務提携については,薄型液晶テレビ向けの音響システムをシャープと共同開発するとともに,液晶パネルの供給を受けて欧州向けからラインアップの拡大を図るとする。また光ディスク関連も機器の相互供給だけでなく,Blu-ray関連でレコーダやピックアップの共同開発をし,数量を出すことでコスト低減を図るとした。「両社の事業成果は,2008年秋の「CEATEC 2008」の場で紹介する」(須藤氏)とした。