液晶パネル関連の特許をめぐる係争が激化している。米国際貿易委員会(International Trade Commission,ITC)は2008年2月28日,シャープの申し立てを受け,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のテレビやパソコン用モニタ向け液晶モジュールについて,米関税法337条に基づく調査を開始したと発表した。シャープは2008年1月30日,Samsung社の液晶モジュールがシャープの米国特許を侵害しているとITCに訴えていた。ITCは同1月22日にSamsung社の訴えに基づいてシャープを調査すると発表しており,シャープがITCに提訴したのはその8日後のことになる。

 今回の訴状でシャープが侵害されたとしている米国特許は以下の4件。
第6879364号:垂直配向液晶において液晶分子の配向を安定化することにより高輝度・高速応答を実現する液晶表示装置
第6952192号:垂直配向液晶において液晶の応答速度を高めた液晶表示装置ならびにその駆動方法
第7304626号:液晶を駆動するための駆動信号波形を調整して表示品質を向上させる液晶表示装置
第7304703号:垂直配向液晶において液晶分子の配向を規定することにより広視野角を実現する液晶表示装置

 ITCの調査対象となるのは,Samsung社と米Samsung Electronics America, Inc.,米Samsung Semiconductor, Inc.の3社。ITCは調査完了の目標期日を調査開始から45日以内に決める。ITCの処置命令は,米通商代表部に却下されない限り,発令から60日目に最終決定となる。なお,シャープはこのITCへの提訴と同日,米国デラウエア地区連邦地方裁判所にもSamsung社を特許侵害で訴えている。

 シャープは2007年8月以降,米国,日本,韓国で相次いでSamsung社を液晶パネル関連の特許侵害で提訴した(Tech-On!関連記事1同2)。Samsung社は当初から反訴の意向を示していたが(Tech-On!関連記事3),2007年末に正式に反撃に出た。2007年12月21日には米国特許の侵害についてITCにシャープを提訴。同26日には日本特許2件を侵害されたとして東京地方裁判所にもシャープを訴えた。近く米国,韓国においても逆提訴を予定しているという。

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