LTEのデータ伝送を実演
LTEのデータ伝送を実演
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RF送受信回路。この部分が,早ければ年内にもRFトランシーバICとして集積化される予定
RF送受信回路。この部分が,早ければ年内にもRFトランシーバICとして集積化される予定
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ベースバンド処理回路はFPGAを利用して実現している。この部分もいずれ専用LSIとして集積化する
ベースバンド処理回路はFPGAを利用して実現している。この部分もいずれ専用LSIとして集積化する
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 米Freescale Semiconductor社は,次世代移動体通信規格「LTE」の伝送システムを試作,Mobile World Congress 2008の会場で動作を実演した。20MHzの帯域幅を用い,下り方向で最大96Mビット/秒,上り方向で最大86.4Mビット/秒のデータ伝送を見せた。同社はこの試作システムをもとに,携帯電話機への搭載に向けた1チップの送受信ICの開発を進めていく予定。

 Freescale社はLTEに関して,携帯端末向けと基地局装置向けの両方の半導体開発を進めている。特に端末向けに関しては,日本の端末メーカーへの供給を目指しているという。NTTドコモが2009年中の開発終了を目標に,国内メーカーとLTE端末の共同開発を進めているためだ。

 Freescale社が会場で公開したシステムでは,RFトランシーバ回路を個別部品で構成していた。同社は2008年中に,1チップのRFトランシーバICを実現する計画である。90nmのRF CMOS技術を使って設計する。「LTEは決して遠い話ではない。今年中に1チップ品を仕上げる。それほど時間はかからないと思っている。日本の2010年ころのサービス開始には,十分間に合うはずだ」(同社 Director,Product ManagementのDavid Patterson氏)という。

 会場で出展したシステムは,MIMOを使わずに96Mビット/秒のデータ伝送速度を実現している。2×2のMIMOを適用した場合,下り方向で最大173Mビット/秒まで高速化できるという。

(MWC 2008に関するレポート記事を,『日経エレクトロニクス』2008年3月10日号に掲載予定です)