三菱電機は,2008年2月14日に東京で開催した「研究開発成果披露会」で,開発中の多結晶Si太陽電池セルを初めて展示した。表面の反射率を低減してセル変換効率を高める「ハニカム・テクスチャ」と呼ぶ構造を採用したのが特徴である。セル変換効率は公的機関で測定中のため明言を避けたが,「18%以上を狙える技術」(同社説明員)とした。
ハニカム・テクスチャは,セル上に形成したSiNなどの膜に,レーザーで1億個の穴を開けた後に,混酸による等方性ウェット・エッチングで形成する。複数の穴をレーザーで同時に開ける技術によって,セル1枚当たりの加工時間を秒単位にできたという。
三菱電機はこれまでに,ハニカム・テクスチャと同様に表面の反射率を低減できるRIE(Reactive Ion Etching)テクスチャ技術などによって,セル変換効率を18%に高めた成果を発表してきた(Tech-On!関連記事)。今回のハニカム・テクスチャ技術は,真空装置がいらないためにRIEテクスチャ技術に比べて低コスト化できる上,セル変換効率も高められる可能性がある。
今後は,ハニカム・テクスチャ形成のためのレーザー加工のコストやセル変換効率の測定結果などを見て,RIEテクスチャ技術とハニカム・テクスチャ技術の量産適用の優先順位を決めるという。