米Adobe Systems Inc.は2008年2月11日,携帯機器向けFlash関連技術を2種類追加した。一つはプッシュ型の情報配信機構の新版「Flash Cast 2」,もう一つはメニューなどをFlash技術を使って実装する「Flash HOME」である。これらを通じて携帯電話事業者やコンテンツ・プロバイダに採用を呼びかけ,米MTV Networks社や米NASDAQ社,米eBay社,米Reuters社,米Dolce & Gabbana社などが採用したという。

 Flash CastはNTTドコモの「iチャネル」に使われている技術で,サーバーからプッシュ型で情報を配信し,それをユーザーの手元でニュース・ティッカーのようにして表示できるというもの。Flash Cast 2は現行のFlash Castよりも機器に対する負荷を軽減した。100MHz動作のマイクロプロセサと2Mバイト程度のメモリがあれば動作するという。これにより,「携帯電話機のうち40~50%程度しかFlash Castを実行できなかったが,今年出てくる機種ならば70%以上が対応可能」(Adobe社Director,Technical Marketing Mobile and Devices Business UnitのAnup Murarka氏)という。

 Flash HOMEは携帯電話機の待ち受け画面やメニューなどをFlashで実装する技術。携帯電話事業者などが新しいメニューを提供したりできる。日本ではこれまでにもアクロディアが「VIVID UI」として同種の技術を提供しており,珍しさはない。ただAdobe社自体がこうした取り組みを強化する背景には,Flashを利用したリッチな環境が日本だけでなく,世界中に広がっていることを意味している。「5年かけて日本では,Flashを採用した携帯電話機が85%を占めるようになった。Flash HOMEやFlash Castを提供することによって,全世界での比率を高めていく」(Murarka氏)。

 またAdobe Systems社は日本の市場に特化した「Device Central Premium」サービスを開始すると発表した。Device CentralはAdobe社の「Photoshop CS3」や「InDesign CS3」など,コンテンツ作成のための製品群に付属するもので,携帯電話機でどのような表示や表示速度になるかをシミュレーションする機能である。Device Centralでは4カ月ごとに最新の情報に更新していたが,Premium版の利用者は新しい機種が出たらすぐに情報を更新してもらえるというもの。現在ベータ版の段階で,正式版は2008年春中に提供開始する。価格は未定。