MEMSディスプレイを採用した中国Qingdao Hisense Communication Co.の携帯電話機
MEMSディスプレイを採用した中国Qingdao Hisense Communication Co.の携帯電話機
[画像のクリックで拡大表示]
カラーのMEMSディスプレイを搭載するコンセプト・モデル
カラーのMEMSディスプレイを搭載するコンセプト・モデル
[画像のクリックで拡大表示]
米Qualcomm MEMS Technologies社 Business Development Vice PresidentのJames J. Cathey氏
米Qualcomm MEMS Technologies社 Business Development Vice PresidentのJames J. Cathey氏
[画像のクリックで拡大表示]

 米Qualcomm MEMS Technologies, Inc.は,同社のMEMSディスプレイ技術「mirasol display」を採用した中国Qingdao Hisense Communication Co.の携帯電話機「C108」を「MWC 2008」で展示している。開発への取り組みについては明らかにしていたが,実機を公開するのは今回が初めてだという(Tech-On!関連記事1)。

 「C108」の画面はモノクロ画面。米Qualcomm MEMS Technologies社の技術を使ったモノクロ表示のMEMSディスプレイは,携帯音楽プレーヤーや腕時計型携帯端末への採用例はあるものの,通常の携帯電話機への採用は今回が初(Tech-On!関連記事2)。「C108」は2008年中に製品化される予定。展示場ではC108の実機のほか,カラーのMEMSディスプレイを搭載するコンセプト・モデルも展示している。

 MEMSディスプレイは,環境光を反射させ,光源として利用する反射型ディスプレイである。入射した光に対して20%程度の光を外部に取り出すことができるという。MEMS技術によってディスプレイ内に設けた共振器構造により,反射して外部へ出力する光の波長を制御して,さまざまな色を表示できる。これにより液晶パネルで必要なカラー・フィルタを不要にする。

MEMSディスプレイの利点は二つ

 同社によれば,MEMSディスプレイを携帯電話機に利用する利点は主に二つあるという。一つは,明るい場所でも画面が見やすいこと。反射型ディスプレイのためコントラスト比はどのような環境でも6~8対1とほぼ一定なためである。もう一つがバックライトが不要になるため消費電力を抑制できる点である。

 「中国などでは,自動車による移動が多い米国とは違い,屋外で利用する場合が多く,明るい屋外での視認性を高める要求が強い」(米Qualcomm MEMS Technologies社 Business Development Vice PresidentのJames J. Cathey氏)という。こうした傾向は中国だけでなく,南米やインドなどでも同様だという。