任天堂とコナミは,携帯電話を利用したゲーム・ソフトを開発する合弁会社「モバイル21」を1999年10月中旬に設立する。資本金は当初3億円で,出資比率は任天堂が50%,コナミも50%。従業員100人程度でスタートする。任天堂は,2000年4月に,既存のゲームボーイカラーを携帯電話につなぐ専用アダプタを2000年4月に発売する。さらに,携帯電話やPHSとつなぐことでインターネットを接続できるゲーム機「ゲームボーイアドバンス」を開発中で(関連記事はこちら),2000年8月に発売を予定している。モバイル21は,こうした携帯電話につながったゲーム機に向けてソフトウエアを開発する。

 発表会場で任天堂社長の山内氏は,ソニー・コンピュータエンタテインメントに対して,繰り返し牽制球を投げた。「いまのゲーム・ソフトは重厚長大に向かっている。DVDを使ったゲームでなにが売り物になるのか,私にはわからない。リアルな表現だとか,迫力を出すとかいう人がいるけれど,それが市場を大きく盛り上げることになるのだろうか。最近ではゲーム・ソフトが「大作」じゃなければいけないという風潮があるが,それは映画のことであって,ゲームが重厚長大である必要はない。特に最近では,ゲーム・ソフトの開発期間は長くなり,しかもコストがかかりすぎる。ビジネスが成り立たなくなってきている」とし,通信と組み合わせるという新機軸を打ち出すことで,ゲームとはなにかを見直したいとする。携帯電話の有効性についてはこう語った。「最近,ゲームとはテレビの前でやるものだと決め付けられているが,本当のゲームは汽車のなかでも旅先でも,どこでも場所を選ばずに楽しめるはず。携帯電話につないだゲームボーイアドバンスがあれば,それが可能になる」とした。

 合弁会社モバイル21の従業員は,任天堂とコナミだけでなく,外部からも広く募集する。役員および従業員には株式を付与し,将来の店頭公開に向けて労働意欲を駆り立てる。全株式の30%に相当する1800株をインセンティブ用に用意するという。さらに将来にはストック・オプション制の導入も見据えているという。(浅見直樹)