電子情報技術産業協会(JEITA)は,産業用電子機器の総需要(内需に輸出分を加えたもの)が今後,2010年度まで緩やかな減少を続けるとの予測を発表した。JEITAがこのほど発刊した「産業用電子機器需要予測」,通称「青本」の2007年版によれば, 2010年度の総需要は11兆9149億円となり,2007年度からの平均年成長率は-0.8%になるという。主なマイナス要因は,産業用電子機器で最大の比率を占める携帯電話機の販売減だ。

 モバイルビジネス研究会(Tech-On!関連記事)が携帯電話機の販売奨励金の減額やSIMロック解除の方針(総務省の発表資料)を打ち出したことを受け,国内の端末市場は大きく様変わりしようとしている。端末購入価格を引き下げ,月々の利用料に端末価格の一部を織り込む従来の料金プランに対し,通話料金と端末価格を分離したプランが2007年11月に登場した。新プランでは端末の購入価格が上昇するため,買い替えサイクルの長期化が予想される。

 JEITAは2007年春の時点でのユーザー・アンケートをもとに買い替えサイクルは平均で2.2年と推計したが,今後は同2.6年に延びると予測する。累計加入数が1億件のとき,買い替えサイクルが2年であれば端末の国内年間需要は5000万台に,2.5年では4000万台になる計算で,端末の国内市場は今後縮小する見込みだ。

 青本によれば,2008年度の端末の国内出荷台数は前年度比5%減の4850万台と落ち込み,2009年度も同5%減の4600万台,2010年度は同1%減の4550万台と減少が続く見通しだ。金額ベースでは,平均販売単価の下落も手伝って2008年度,2009年度と前年度から10%を超えるマイナス成長になるとJEITAはみている。

 ただし,2010年度を底に,2011年度以降は買い替えサイクルが安定して国内の端末市場は回復基調になるとJEITAは予測する。契約数の伸びもカギになる。日本における携帯電話機の人口普及率は2007年11月時点で78%に達しているが「法人を除いた個人加入ベースでは69%程度と限界普及率にはまだ達していない。累計契約数が増えれば買い替えサイクルが長期化しても市場規模は維持できる」(JEITA情報・産業社会システム部会 統計予測委員会 移動電話WG主査の上杉隆弘氏)。