欧州委員会は2007年11月20日,ソニー,富士フイルム,日立マクセルの欧州子会社が業務用ビデオ・テープの価格カルテルを結んでいたと認定し,課徴金の納付命令を下した(発表資料Tech-On!関連記事)。課徴金はソニーが4719万ユーロ,富士フイルムが1320万ユーロ,日立マクセルが1440万ユーロである。

 価格カルテルがあったとされるのは1999年8月~2002年5月。2002年5月に欧州委員会はソニー,富士フイルム,日立マクセルの欧州子会社を抜きうちで立ち入り捜査し,大量の証拠を発見したとする。その際,ソニー子会社の従業員が関連文書をシュレッダーにかけたり,捜査官の質問に答えないなどの妨害を行ったという。一方,富士フイルムと日立マクセルの各子会社は立ち入り捜査後も証拠を提出するなど,捜査に協力的な姿勢をとった。このため,ソニーの課徴金は30%上乗せされ,富士フイルムは逆に40%の減額,日立マクセルも20%の減額が適用された。

 価格カルテルは「Betacam SP」と「Digital Betacam」の2方式のビデオ・テープの販売に関して結ばれたという。この2方式は当時,テレビ局などで広く採用されており,欧州地域の市場規模は2001年実績で約1億1500万ユーロだった。ソニーら3社は業務用ビデオ・テープの市場シェア85%以上を握っており,3社で定期的に協議して価格を吊り上げ安定させたとされる。

 この件に関してソニー,富士フイルムホールディングス,日立マクセルがそれぞれ見解を発表した(ソニーの発表資料富士フイルムの発表資料日立マクセルの発表資料:PDF)。3社とも決定書の内容を精査するとしている。ソニーは子会社従業員が捜査妨害を犯したとされる点について「不適切で反省すべき点もあったと考えるが,調査に実質的な影響を及ぼしていないと認識している」とした。

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