マイコンを使った工作に記者がチャレンジする「マイコンなんてこわくない」の第5回目をお届けする(このような企画に至った経緯はこちら。別ウインドウが立ち上がります)。マイコンの入門セミナーを受講後,プログラムについて復習を行っている中,セミナーの主催者から課題をもらう。課題を見ると,自分で部品を買って,基板を製作した上で,プログラムを作成するという内容だ。そこで,秋葉原に出かけ,すべての部品,そしてそれを組み立てるための工具を購入した。

 久し振りの秋葉原探検は,思った以上に楽しかった。もちろん,買い物だけでは目的は終わらない。それから1週間後の10月中旬。基板を製作するために会議室を予約した。予約できたのは午後の半日。果たして,半日で基板が製作できるかどうかは分からない。ひょっとしたら,もう1日,必要となるかもしれない。

 元技術者だった同僚に,同席してもらうことは約束している。自分一人だと,どのような手順で基板を製作すべきなのか,まったく分からない。彼の指示だけが頼りだ。

 やる気はあるのだが,何しろ,はんだごてを握るのは20年,いや25年振りか。ちょっと事前に復習と言っても,まさか自分の席ではんだを溶かして異臭を漂わすわけにはいかない。とりあえず,インターネットで役に立つサイトを検索する。

 簡単に見つかったのが,ノセ精機の社長が提供する「はんだ付け講座」というサイト。はんだ職人の社長がそのノウハウを公開してくれている。母材とはんだで金属間化合物を作成して固定されること,糸はんだの中にはフラックスと呼ばれるヤニが含まれているのでぬれ性が良くなっていること,など基本を理解していく。そんな中で驚きだったのが,「こて先に直接糸はんだを当ててはいけない」ということ。こてで当てずにどうやってはんだを溶かすの? と考えてしまったわけだが,どうやらまず母材にこてを当てて温め,その母材にはんだを供給するとのこと。にわか仕込みではあるものの,この知識は役に立ちそうだ。

図1●「実習機材 仕様書」に掲載されていた基板の写真
図1●「実習機材 仕様書」に掲載されていた基板の写真 (画像のクリックで拡大)
図2●今回の工作に関係する回路図
図2●今回の工作に関係する回路図 (画像のクリックで拡大)

 昼食を終え,会議室に向かう。今回,使用する会議室は12人が収容できる。二人で作業をするには十分な広さだ。少し心配なのが煙。もくもくとは出ないものの,煙は発生する。はんだ付け基礎講座には,吸煙器を使用しなさいと書かれている。今回は,吸煙器までは用意できなかった。

 さらに不安なことに,元技術者の同僚が現れない。今日は,主催者から送られてきた「実習機材 仕様書」にある基板の写真と回路図を参考にして,基板を製作していく(図1,図2)。回路図を見れば,どうつなぐかは何となく理解はできるものの,どのような手順で部品をプリント基板に付けていくのか見当が付かない。

 真新しい工具を前に心配していると,無事に元技術者の同僚が参上。何やら紙袋を片手に息を切らしている。「いやー,ちょっと買い忘れたものがあって,ひとっ走り行ってきたよ」と言う彼の持つ紙袋にはテスターが。ちゃんと回路がつながっているかどうかをチェックするのに使うのだろう。結構,同僚はやる気があるようだ。これは心強い。

 いよいよ,同僚の指示のもとに,基板製作が始まる。(次のページへ