アイピーモバイルは2007年10月23日,同社が日本で計画している移動通信サービスに向け,香港企業から1億米ドル超の支援を受ける見通しがついたと明らかにした(関連記事)。加えて,通信方式をこれまでのTD-CDMAから,中国発の第3世代移動体通信の規格「TD-SCDMA」に切り替える。2007年11月9日に迫っているサービス開始期限に向け,今週中にも総務省に通信方式の変更などを申請するという。認められれば,土壇場での起死回生策ということになりそうだ。

 アイピーモバイルに資金を支援するのは,主に移動通信サービス事業に出資する投資会社である香港Distacom Group。アイピーモバイルによれば「出資要請は以前からしていたが,ようやく内諾を受けた」という。支援額は2007年10月中に150万米ドル,2008年年3月までに1億米ドルだが「あくまで現時点での額。事業計画が拡大すればそれに必要な額を用意すると(Distacom社が)言っている」(アイピーモバイル)。

 TD-SCDMAに切り替える理由は「中国が市場になるTD-SCDMAは,TD-CDMAに比べて市場規模が格段に大きいため」(アイピーモバイル)という。「既に世界のベンダー20社以上が100種類以上の端末を開発しているため,機器の調達コストや日本国内での競争力が大きく違ってくる」(同社)。

 ただし,11月9日までにTD-SCDMAのサービスを開始するのは機器の調達や設備の整備が間に合わず困難であるため「当初は都内に7基あるTD-CDMAの実験用基地局をそのまま使って11月9日までに商用サービスを始め,その後,TD-SCDMAに切り替えていく」(アイピーモバイル)という。

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