図1 アイピーモバイル 代表取締役社長の竹内一斉氏
図1 アイピーモバイル 代表取締役社長の竹内一斉氏
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 TD-CDMA方式による無線データ通信サービスの実現を目指すアイピーモバイル 代表取締役社長の竹内一斉氏は,森トラストおよび取締役会長の杉村五男氏から,取締役解任の要求を受けていることを明らかにした。

 森トラストと杉村氏は,株主総会を召集して竹内氏ら現経営陣を解任した上で,杉村氏を中心とする新たな経営陣を選任する意向という。杉村氏は事業の継続を主張しており,現時点で早急に携帯電話事業の免許を返上する可能性は低そうだ。竹内氏は「どのような形にせよ,筆頭株主である森トラストが免許の返上を行わず,アイピーモバイルに関与する姿勢を見せたのは歓迎すべきこと」とコメントした。

 アイピーモバイルは,ソフトバンク,イー・モバイルと共に,2005年11月に総務省から第三世代携帯電話事業の免許を取得した。イーモバイルは2007年4月にW-CDMA HSDPAによるデータ通信サービスを始めたものの,ソフトバンクはボーダフォンを買収したため免許を返上した。アイピーモバイルは2007年11月10日の期限までにサービスを開始できなければ,事業免許の返上を迫られる。しかし現時点では依然として事業資金を十分に集められていない。

 アイピーモバイルの現経営陣と杉村氏は,株の所有権をめぐって対立している。具体的には,アイピーモバイル株の約70%を所有する森トラストが,杉村氏に全株を譲渡しようとしたのに対し,現経営陣は「取締役会の承認なしに譲渡は成立しない」と主張していた。現経営陣は,森トラストによる資金の提供が事業開始の必須条件とみていた。