直径6.9mmの小型分光素子
直径6.9mmの小型分光素子
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分光ビデオ内視鏡の先端部
分光ビデオ内視鏡の先端部
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二つのフィルタ間の距離と入射する光の波長が一致する時にその波長の光が透過する
二つのフィルタ間の距離と入射する光の波長が一致する時にその波長の光が透過する
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 オリンパスは,外径10mmのビデオ・スコープ先端部に直径が6.9mmと小さい分光素子を搭載した「分光ビデオ内視鏡システム」を開発した(リリース)。粘膜の内部にとどまっている大きさ2mm以下の早期がんの発見に向ける。2013年度の市場評価開始を目指す。

 小型分光素子は,反射コートを施した2枚のフィルタを高精度に配置した構造。二つのフィルタ間の距離と入射する光の波長が一致する時にその波長の光が透過する仕組みを利用し,CCDに入射する光の波長を任意に設定できる。これにより,通常観察(白色光)に加え,600~800nmの波長帯域において10nm以下の高分解能で,がんに関連する分子と反応する複数の蛍光プローブを選択的に検出できる。このような分子イメージングにより,“がんの芽”を早期に検出することで,他の臓器やリンパ節への転移リスクの少ない段階で侵襲の低い治療が可能になるという。

 このほか,青色光を照射することによって生体に含まれるコラーゲンなどの蛍光物質からの自家蛍光を捉え,腫瘍性病変と正常粘膜を異なる色調で強調表示する自家蛍光観察機能を備える(関連記事)。なお,今回の開発成果は新エネルギー・産業技術総合開発機構の「ナノ医療デバイス開発プロジェクト」の一環として2004年8月に採択され,2007年3月まで助成を受けたもの。

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