次世代のテレビ・ケータイの実現に向け,マルチメディア放送の在り方をめぐる議論が本格的に始まった。総務省の「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」は,2007年8月に第1回会合を開催したあと提案募集を行っていたが,10月9日に第2回会合を開催し,提案募集結果を公表した。同時に,デジタルラジオ推進協会(DRP),メディアフロージャパン企画,モバイルメディア企画の3社が招聘され,各社がプレゼンテーションを行った。

 提案募集結果の内容について,技術面ではISDB-Tsb,ISDB-Tmm,MediaFLOのほかに,IBOC(デジタル放送研究会)の提案もあった。複数方式の採用の可否については,統一すべきという多数の意見があったが,クアルコムジャパンなどは複数方式を認めるべきと提案した。割当周波数帯域幅については,430kHz(1セグメント),1.3kHz(3セグメント)のほか,マルチメディア放送企画LLCは,14.5MHzあるVHFハイバンドを一つの事業者に付与すべきと主張した。

 プレゼンでDRPは,ハードウエア(放送設備など)とソフト(番組など)一致の免許形態を望ましいとする一方で,地域情報を届ける意ためにも地域免許の重要性を強調した。技術方式は統一することが望ましく,ISDT-Tsbが適していると主張した。

 一方のメディアフロージャパン企画とモバイルメディア企画は,いずれもMediaFLOを採用した事業化を念頭に置く企画会社である。メディアフロージャパン企画は,全国を対象にした免許の付与を主張した。技術方式については,ITUで規格・勧告化されたものを自由に事業者が採用を可能にすべきとした。また,携帯端末向けマルチメディア放送サービスにコンテンツがスムーズに流れるような著作権のあり方の検討を要請した。

 モバイルメディア企画は,市場の活性化に向けて新規参入を促進すべきとした。免許の形態として広域免許を主張した。その中でも地域別サービスを提供できるという理由である。技術面では,特定の周波数幅においてより多くの情報を伝送できる技術であるべきか,の検討を必要とし,最低二つ以上の技術選択できることが望ましいと述べた。

 次回会合では,ISDB-Tmmを推進するマルチメディア放送企画LLCなどがプレゼンを行う予定である。