Siウエハー・プロセスで燃料電池を形成
Siウエハー・プロセスで燃料電池を形成
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燃料電池セルを形成した150mmウエハー
燃料電池セルを形成した150mmウエハー
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9チップで燃料電池ユニットを構成
9チップで燃料電池ユニットを構成
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 伊仏STMicroelectronics社は,Siウエハー・プロセスで形成する携帯機器向け小型燃料電池を「CEATEC JAPAN 2007」に出展した。燃料電池を構成する電極や触媒,固体電解質をSiウエハー上に薄膜として形成することで,組み立てコストを削減できるという。

 今回開発したのは,薄膜部の最上層を空気極,最下層を燃料極として1セルを構成するパッシブ型のPEMFC(proton exchange membrane fuel cell)。デバイス表面を空気にさらした状態で,チップ裏面の貫通孔から水素を供給することで発電する。貫通孔はMEMS技術で加工しており,水素はNaBH4と水から生成する。触媒にはC微粒子に付着させたPt,固体電解質には「NaFion」を使った。150mmウエハー上に形成している。

 Si上に形成したセルを9個直列に接続して一つの燃料電池ユニットにしている。ユニットの外形寸法は58mm×46mm×4mm。出力電力の平均値は600mW,ピーク値は1.4W。出力電圧は5Vである。ユニットの状態や出力電力を制御するモジュールもSTが手掛けている。水素を供給するカートリッジは他社製である。水素カートリッジを除くシステム全体の外形寸法は88mm×55mm×32mm。

 今回試作したシステムで携帯電話機の充電が可能であることを確認したという。2009年には平均出力電力を2.5Wに高めると共に,燃料電池ユニットの外形寸法を40mm×30mm×4mmに縮小し,携帯機器の外付け充電器として利用できるようにする。2011年には平均出力電力を5W以上に高め,携帯機器への搭載を目指す。