幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2007」で,電子情報技術産業協会の会長でシャープ代表取締役会長の町田勝彦氏が「デジタルコンバージェンスが切り開く新しい生活」と題する基調講演を行った。デジタルコンバージェンスは,デジタル技術や通信技術の発達により放送や通信,音楽,金融などの異なる事業分野が融合されることを意味しており,CEATEC JAPAN 2007のテーマとなっている。

 町田氏は講演の中で「デジタルコンバージェンス時代の技術者は多能工たれ」との持論を披露した。町田氏が会長を務めるシャープには,全社横断的に人材を集めて社長直下の開発チームを組む制度が存在する。「緊急開発プロジェクト」略して「緊プロ」と呼ぶもので,30年の実績がある。例えば,液晶テレビの技術を応用した携帯電話機「AQUOSケータイ」の開発もこの緊プロによるものだという。町田氏は「技術者たちは放っておくと必ずI型人間(専門分野だけを極める人)ばかりになる。T型人間(専門のほかの知識も身につける人)が欲しければ,配置転換や研修など,会社側が意図的に育てなければ」とした。

 また同氏は「デジタルコンバージェンス時代の地球環境への配慮」という観点で「DCエコハウス」を提唱した。DCエコハウスとは,太陽電池とDC(直流)による給電,HEMS(Home Energy Management System)を組み合わせた家庭用の給電システム。町田氏は「デジタル家電のほとんどがDC電源を使うのに,日本の家庭のコンセントはAC(交流)電源。ACからDCに変換する際に電気をロスするなど,省エネルギーの考えに反する事態が起きている」と指摘,直流化による省エネの有効性を説いた。