住友ベークライトは,2007年度中間期(2007年4月~9月)の業績予想を修正した。連結売上高は2007年5月時点の予想に20億円を積み増して1320億円(前年同期比3%増)とした。アジア地域での半導体の在庫調整が回復に向かっているという。一方で,営業利益は前回予想から19億円減らして76億円(同17%減),純利益は42億円減の10億円(同88%減)とした。

 利益の下方修正は,(1)原材料価格が高騰する中で顧客への販売価格への転嫁が遅れていること,(2)フレキシブル基板の海外生産移管が遅れていること,(3)訴訟の和解費用を特別損失として計上することなどが主因だ。

 (1)については,特にベンゼン(C6H6)系の化合物の価格高騰が住友ベークライトの利益を圧迫しているという。顧客の中には値上げを認めない企業もあり,収益が悪化している。

 (2)に関しても顧客側の事情によるところが大きいとする。住友ベークライトは,製造コストの削減を目的に,秋田工場でのフレキシブル基板の生産を,2002年末に完成したベトナム工場へ段階的に移管している。最終的には,秋田工場を研究開発や試作に特化した拠点とし,ベトナム工場を量産の主力拠点にする考えだが,ベトナムで製造した品種の顧客側の認定作業(試験など)に時間がかかっているという。

 (3)は,2000年夏ころから多発したICパッケージ内のピン間短絡事故(Tech-On!特集ページ)に関するオランダNXP Semiconductors Netherlands B.V.との和解である。当時,事故には住友ベークライトが提供したパッケージ封止材が関与しているといわれ,米Maxim Integrated Products, Inc.や米Cirrus Logic Inc.,米Fairchild Semiconductor Corp.など多数の半導体メーカーやその半導体を採用した機器メーカーが被害を受けた。一部では訴訟に発展していたが,今回,NXP社と和解したことで,この件に関する係争や係争を前提としたクレームはすべて決着したという。なお,今回の和解金は3000万ユーロである。