私,木村記者がマイコンを勉強することになった。手始めにNECエレクトロニクスが開催しているセミナー「マイコン入門」に足を運んだ。マイコン入門を受講したのは,技術者として仕事を再スタートさせようというわけではない。その体験記を「Tech-On!」上で紹介するためだ。詳しい経緯は別掲記事をご覧いただきたい(クリックすると別ウインドウが開きます)。これから数回に渡って,マイコンの素人である筆者が,マイコンのプログラムを独自に作成できる(予定)までに成長する姿を紹介させてもらう。

 自分のことを素人と言っているが,一応,理工学部出身ということだけは伝えておきたい。ただ,プログラムを作成したのは,学生時代にFORTRANの授業時に教えてもらったときだけ。理工学部機械工学科の修士課程を卒業したのは約20年前。それ以来,仕事はずっと機械技術者向けの雑誌記者であったため,もちろんプログラムを作成したことはない。このような私が,マイコンを最低限使えるようになる,という目的に向けて,まず出席を命じられたのが,マイコン入門セミナーだったというわけだ。

 8月1日,快晴。朝9時前に南武線に乗ってJR川崎駅に到着,既に30度近くに気温が上がっているのではないかという中,東口の階段を降りる。目指すは「タワー・リバーク」14階にあるNECエレクトロニクスのデバイスセミナールーム。3日間にわたる「マイコン入門」セミナを受講するためだ。


図1●講師の湯浅一志氏

 本来の授業は9時30分から。ただし,他の生徒と目的が異なる筆者は,事前に主催者であるNECエレクトロニクスの担当者に挨拶,続いて授業の準備をする講師とも名刺を交わす。講師は,Z80の頃からマイコンシステムの開発に携わっている湯浅一志氏。既にこのセミナの講師を複数回担当してきたベテランだ。

 「入門セミナーは,講師側が一番難しいんですよ。専門セミナーであれば皆それなりに知識を持っているから話も早いのですが,入門セミナーは出席者の知識レベルがバラバラです。本当に初心者もいれば,ある程度プログラムが組める人もいる。最初の数時間で,どこのレベルの人が多くて,どのような授業にしたら最適なのかを探るんですけどね」。湯浅氏の話によれば,受講者すべてが満足できるようなセミナーは,なかなか難しいらしい。「最後の方は個々にプログラムを作ってもらうので,それぞれが理解した範囲で完成させてもらえばよいのですが」。順調にいけば,私が目的とするプログラム作成にたどり着くようだ。

 「ところで,プログラムの作成経験はありますか?」。ちょっと返答に躊躇していると,湯浅氏は察してくれたらしい。「まー,いろいろな人がいますから。とにかく頑張ってください」。

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